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DC/DC

損失の検討

出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その2

前回は、出力電流が大きいアプリケーションを検討する場合の2つの注意点のうち1つ目を説明しました。出力電流を大きくするためには、オン抵抗が低いMOSFETを使い、スイッチングを高速にして、DCRが低いインダクタを選択するというのが1つ目のポイントでしたが、今回は2つ目を説明します。

出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その2

前回説明したように、出力電流を大きくするためには、オン抵抗の小さいMOSFETを使用することになります。しかしながら、高耐圧で低オン抵抗のMOSFETは一般にゲート容量が大きく、Qgが大きくなる傾向があります。したがって、ゲートチャージ損失に注意が必要です。

今まで使ってきた条件において、ゲートチャージ電荷Qgに1nCから50nCまでの幅をもたせた条件で損失を検討します。

・ゲートチャージ損失
  同期整流降圧DC/DCコンバータのMOSFETゲートチャージ損失の計算式

table

下の図は、Qgと損失の関係を示したものです。Qgの増加に対して、単純にゲートチャージ損失が増加します。

同期整流降圧DC/DCコンバータのMOSFETゲートチャージ損失とゲートチャージ電荷Qgの関係

対応策

この損失増加に関する対応策としては、出力電流増加に必要なオン抵抗のMOSFETで、Qgが低いMOSFETを検討することになります。実際、低オン抵抗でもQgが十分に低いMOSFETが存在しますので、回避できる問題です。

注意点としては、Qgが低いMOSFETはスイッチングの立ち上がり/立ち下がりが急峻である場合があるので、スイッチングノイズが大きくなる可能性があります。スイッチングが高速になることで、スイッチング損失が低減するというメリットがあるのですが、EMIに関しては十分な検討が必要で、基板設計にも配慮が必要になります。

まとめ

出力電流が大きいアプリケーションを検討する際の注意が2話にまたがったので、ここでまとめをします。

出力電流が大きいアプリケーションを検討する際には、オン抵抗が低いMOSFETを使い、スイッチングを高速にして、DCRが低いインダクタを選択することになります。

MOSFETに関しては、オン抵抗が低くQgの低いものを選択します。この場合、スイッチングが高速になる傾向があるので、スイッチングノイズが増加していないか検討が必要になります。

キーポイント

・出力電流を大きくする場合は、オン抵抗の低いMOSFETを選択し、スイッチングを高速にして、DCRの小さいインダクタを使う。

・高耐圧低オン抵抗のMOSFETはQgが大ききなる傾向にあるので、Qgの増加によるゲートチャージ損失の増加を回避するため、低オン抵抗でQgが小さいMOSFETを選択する。

・低QgのMOSFETはスイッチング速度が速い傾向にあるので、スイッチングノイズの増加に注意する。


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