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損失の検討

損失の簡易的計算方法

前回、各部の損失を求め、それらを合計することで電源ICの全損失を計算する方法を示しました。今回は、簡易的という前提ですが、既存のデータを利用して電源ICの損失を求める方法を示します。

損失の簡易的計算方法

電源ICのデータシートには多くの場合、標準的な応用回路で測定した効率のグラフ(効率 vs 出力電流)が掲載されています。使用する回路条件とその効率曲線の条件が同じ、または近似であれば、自身の設計した回路においても、基本的にほぼ同じ効率曲線が得られると考えることができます。これを利用して、簡易的に損失を計算することができます。前回の計算例と同様に、MOSFET内蔵の同期整流降圧コンバータを例に使います。

最初に、効率と損失の関係を整理する意味も含めて、効率から損失を計算する式を示します。

入力電力 [W]=出力電力[W]+損失[W]
効率(×100で%表示)=出力電力[W]÷入力電力[W]

損失 [W]=出力電力[W]×(1-効率)÷効率

それでは、以下の条件で、効率曲線を使って計算してみます。

使用条件:Vin=24V、Vout=5V、Iout=1.5A

グラフから効率は:84% (青色の円)

損失 [W]=出力電力[W]×(1-効率)÷効率
=(5V×1.5A)×(1-0.84)÷0.84=1.43W

D5_11_graf01

ここで算出した損失は回路としての損失(効率も同様)なので、前回の計算例と同様に、外付けの出力インダクタのDCRによる導通損失(PCOIL)を差し引く必要があります。インダクタの損失については、こちらを参照してください。

この様に、効率曲線から概算の損失を算出することができます。先に外付けのインダクタの損失を除外することを記しましたが、もう少し厳密に言うと概算値には他の外付け部品やPCBの薄膜配線などの損失が含まれています。ただ、電源IC自体の損失はこの値より小さい(通常わずかですが)ことになるので、概算値と使用する分には特に問題はありません。

パワートランジスタが外付けの場合は、同じ考え方で概算することは可能ですが、いずれにしてもパワートランジスタの損失を別途求める必要がありますので、手間は個別に計算するのとあまり変わらないかもしれません。

最後に、計算値の端数は切り捨てではなく、基本的に切り上げてください。何桁まで利用するかは、全体の電力から有効(影響のある)な桁数を判断してください。これは誤差を安全側に持っていくためで、損失や発熱など負の要因の場合は要注意事項です。もちろん、可否の判断の場合はぎりぎりではなくマージンを考慮します。

キーポイント

・電源ICのデータシートに効率曲線が提供されている場合、効率から簡易的に損失を計算できる。


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