DC-DCコンバータ|評価編
定義と発熱
2017.06.13
この記事のポイント
・損失は入力電力と出力電圧の差、もしくは効率の逆数。
・ジャンクション温度は、周囲温度+発熱、発熱は損失×熱抵抗(θj-a)。
・損失は、熱になることから重要な検討事項。
損失の検討に際して、損失に関連する定義と、発熱およびジャンクション温度について確認しておきます。
損失と効率
効率の定義と、損失との関係を念のために確認しておきます。効率は、入力電力に対する出力電力の割合です。これは、入力電力を所望の出力に変換する際、損失が生じるためです。このことから、損失は割合で表すと、効率の逆数、電力値であれば入力電力から出力電力を差し引いた値など、いくつかの式で表すことができます。
効率=出力電力÷入力電力 [%]
損失=1-効率 [%]
損失=入力電力―出力電力 [W]
損失=出力電力×(1 効率)÷効率 [W]
損失とジャンクション温度
なぜ損失について評価や検討を行うのかといえば、損失は熱に変換されるからです。つまり、重要な最大定格であるジャンクション(接合部、チップ)温度が、規定値内であるか、使ってよい条件内にあるかということを確認する際に、発熱は重要な検討事項になります。ジャンクション温度Tjは、以下の式で表されます。
Tj [℃]=Ta [℃]+(θj-a [℃/W]×損失 [W])
あえて、θj-a [℃/W]×損失 [W]の項をカッコで括りましたが、この項は「発熱」になります。つまり、「周囲温Ta+発熱」がTjになります。以下に、パッケージの熱抵抗と定義を示します。
熱抵抗θj-aは、パッケージや実装基板条件により異なります。通常は、各ICのデータシートに標準値が示されています。
項目 | 定義 |
---|---|
θja | ジャンクション温度(Tj)と周囲温度(Ta)間の熱抵抗 |
θjc | ジャンクション温度(Tj)とケース表面温度(Tc)間の熱抵抗 |
θca | ケース表面温度(Tc)と周囲温度(Ta)間の熱抵抗 |
Tj | ジャンクション温度 |
Ta | 周囲温度 |
Tc | ケース表面温度 |
【資料ダウンロード】降圧DC-DCコンバータ 損失の検討
DC-DCコンバータ
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- 電源ICのデータシートの読み方:表紙、ブロック図、絶対最大定格と推奨動作条件
- スイッチングレギュレータの評価:出力電圧
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