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2015.01.09 DC/DC

電源ICのデータシートの読み方:部品選定

スイッチングレギュレータの特性と評価方法

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「電源ICのデータシートの読み方」として、「データシートの表紙」、「ブロック図」、「絶対最大定格と推奨動作条件」、「電気的特性の勘所」、「特性グラフ、波形の見方」、「応用回路例」まで話を進めてきました。この項では、設計に必要となる「部品選定」に関する情報の見方を、特にスイッチングレギュレータで重要になる「出力LCフィルタ」と「位相補償」を例にとって説明します。

・部品選定

「電源ICのデータシートの読み方:応用回路例」の項では、メーカーやICによっては回路例だけではなく、出力電圧などの設定値に基づいた部品定数一覧のような情報を含んでいる場合があることを説明しました。これは、大変便利であることに間違いはありませんが、微妙な調整や提示以外の条件で使いたい場合は、それに適した部品や定数計算ができなくては困ります。そのために、データシートには、搭載機能やその設定の仕方、必要な外付け部品の選定方法、定数決定のための計算式などが掲載されています。

以下は、データシートの「部品選定」項の「出力LCフィルタ定数」に関する記述の抜粋です。内容としては、出力LCフィルタの定数を決める際にどういった値をどんな式をもって決めていくのかという内容になっています。実際はさらに説明が続いて、設定したい条件を満たすような定数が計算できるようになっています。

11D_LC1

もう一つ例を挙げます。こちらも同じくデータシートからの抜粋ですが、スイッチングレギュレータの位相補償回路に必要な部品と定数の計算方法が示されています。

11D_phase1

とらえ方が少しひねくれているかもしれませんが、これらの様に動作説明から始まり、計算式などがしっかりと示されて説明がなされているものは、設計において非常に重要なところであると理解すべきです。動作や特性の最適化をするにあたって、ここは理解しておかなければ設計やデバッグができないといっているようなものです。

例えば、出力電圧を設定する抵抗値と式の記載にはそれほど詳細はなく、基本的には計算式に基づいて決定するというものになっているのは、「なぜそうなるのか」は知らなくてもあまり問題にならないからだと考えることができます。対して、例に挙げた出力フィルタや位相補償は、「それが何か」、そして「なぜそうなるのか」が理解できていないと対処できないと考えてもよいかと思います。さらに言えば、設計やデバッグにあたり、それらは必ず直面するポイントであると深読みすることができます。

一読ですぐに理解できる内容ではありませんが、それらを理解しないと電源は完成しません。幸いなことに例に挙げた出力フィルタや位相補償は、メーカーやICの種類によって回路構成や定数、計算式が多少違っても、「それが何か」、「なぜそうなるのか」は基本的に同じ考え方に基づきます。この項の本題からは外れてしまいますが、この2点については原理を理解しておくことが電源設計に非常に役に立ちます。

「部品選定」に関する詳細が、メーカーやICによってはデータシートではなく、メーカーによって呼称に違いがありますがアプリケーションノートや設計マニュアルなどと呼ばれる別冊となっている場合があります。これらは、設計をする前提であれば基本的に入手することが可能だと思います。また、そういった説明箇所、別冊があってもすべてをカバーしていない場合があります。その際はメーカーに問い合わせることになります。

上記で、評価ボードについて記しましたが、参考までに追記します。評価ボードについては、データシートにその型番が記載されていたり、参照URLが掲載させれていることがありますが、近年はメーカーのホームページの製品ページに行くと関連情報のリンクが提供されています。例として、こちらはBD9A300MUVのトップページになりますが、「評価ボードデータダウンロード」というボタンがありますので内容を見てみてください。評価ボードのマニュアルには、ボードの仕様の他モディファイの方法、基板レイアウトなどが提示されています。他には、基板レイアウト用のガーバーファイルも提供されています。

キーポイント

・設計をするために必要な部品選定、定数計算の方法が提示されている。

・詳細は、アプリケーションノートなどデータシート以外の資料が用意されている場合がある。

・スイッチングレギュレータの場合、出力のLCフィルタと位相補償に関する記載は重要。

スイッチングレギュレータの特性と評価方法