DC-DCコンバータ|設計編
サーマルビアの配置
2016.04.05
この記事のポイント
・サーマルビアは基板を貫通する通路(穴)により反対面にも熱を伝導させ放熱させる手法。
・サーマルビアは、発熱体の直下、または可能な限り近くに配置する。
前回の「入力コンデンサとダイオードの配置」に続き、今回は「サーマルビアの配置」について説明します。
サーマルビア
サーマルビアは、基板を利用した表面実装部品の放熱効果を向上させる方法としてよく知られています。構造的には、基板に貫通穴を設け、1層の両面基板であれば基板表面と裏面の銅箔をつないで、放熱に利用する面積と体積を増やす、つまり熱抵抗下げるといった手法です。多層基板になると、複数の層間の面をつないだり、部分的につなぐ層を限定するなどがありますが主旨は同じです。
表面実装部品は、PCB(基板)に実装することで熱抵抗を下げることを前提にしています。熱抵抗は放熱器の役目をするPCB上の銅箔面積や厚さ、また基板厚や材質に依存します。基本的に広く厚く伝わりやすくすることで放熱効果は向上しますが、銅箔の厚さは一般に標準仕様に則っており、むやみ厚くすることはできません。また、小型化が基本要求事項である昨今に、PCBの面積をほしいだけ取るわけにはいきませんし、実際は銅箔の厚さは決して厚いとは言えないので、ある面積を超えると面積に見合った放熱効果が得られなくなります。
これらの課題の対応策の一つがサーマルビアです。サーマルビアを効果的に使うには、サーマルビアを発熱体に近いところ、例えば部品の直下などに配置することが重要です。下の図が示す通り、熱が平衡する効果を利用するので、温度差の大きいところをつなげるのが良策であることがわかると思います。
サーマルビアの配置
ここからは具体的なレイアウトの例を説明します。下の図は、裏面に放熱板が露出しているタイプのパッケージHTSOP-J8のサーマルビアのレイアウトと寸法の例です。
サーマルビアは、熱伝導率を高めるために、メッキ充填できる内径 0.3mm 程度の小径ビアを推奨します。穴の直径が大きすぎると、リフローハンダ工程でハンダの吸い上げ問題が発生する可能性があるので注意が必要です。
サーマルビアの間隔は1.2mm程度として、パッケージの裏面放熱板の直下に配置します。もし、裏面放熱板の直下だけでは放熱が不足する場合は、ICの 周辺にもサーマルビアを配置します。この場合もなるべくICの近くに配置することが大事です。
サーマルビアの配置やサイズなどは、会社がもっているノウハウがあったり、場合によってはルール化されていることがあると思います。その際には、上記を参照の上、よりよい効果が得られるように検討してください。