DC-DCコンバータ|設計編
DC-DCコンバータの基板レイアウト概要
2015.11.05
この記事のポイント
・スイッチング電源の設計においてPCBレイアウト設計は回路設計と同じだけ重要
・レイアウトが不適切だと、ノイズ、レギュレーションの悪化、不安定といった問題が発生する
DC-DCコンバータ:設計編、新章「DC-DCコンバータの基板レイアウト」を開始します。
DC-DCコンバータの設計おいて、回路構成や部品選択はもちろん重要なのですが、基板レイアウトも同じくらい重要です。回路図面と部品定数が正しくても、基板レイアウトが適切でなければ性能がでないどころか、正常に動作すらしません。大げさなようですが、「試作を作ったがちゃんと動かない」という問題の多くは基板レイアウトに起因するのは事実です。
また、「ノイズが多いけど、とりあえず動いている」といった状態は、電源としては「とりあえず」でいいのかもしれませんが、発しているノイズによりシステムのS/Nが低下して、システムとしての仕様を満たさないといった問題にまで発展するケースも稀ではありません。
基板レイアウトに起因する問題としては、出力にノイズ(スパイクや発振も含む)、レギュレーションの悪化、動作が不安定といったものがあります。多くの場合、これらは適切なレイアウトによって解決することができます。本章では、以下の項目について適切なレイアウトの説明をして行きます。
- 降圧コンバータ動作時の電流経路
- スイッチングノードのリンギング
- 入力コンデンサとダイオードの配置
- サーマルビアの配置
- インダクタの配置
- 出力コンデンサの配置
- 帰還経路の配線
- グランド
- 銅箔の抵抗とインダクタンス
- ビアの抵抗、インダクタンス、許容電流
- ノイズ対策:コーナー配線、伝導、放射
- ノイズ対策:スナバ、Boot抵抗、ゲート抵抗
最初に、基板レイアウトのポイントを記しておきます。これらを意識しながら、本章をお読みいただければと思います。
PCB レイアウトのポイント
- 入力コンデンサとダイオードをIC端子と同じ面に、可能な限りICの直近に配置する
- 必要に応じてサーマルビアを配置する
- インダクタはスイッチングノードからの輻射ノイズを最小限にするため、入力コンデンサの要件程ではないがICの近くに配置する
- 銅箔パターン面積を必要以上に広くしない
- 出力コンデンサをインダクタの近くに配置する
- 帰還経路は、インダクタやダイオードなどのノイズ源から離し配線する
- コーナー配線は丸める
次回は、レイアウトを考える際の基本となる、スイッチング電源回路の電流経路について説明します。