AC-DC コンバータ|基礎編
フライバック方式とは
2014.05.27
この記事のポイント
・トランスを利用したDC-DC変換は応用範囲が広いので、基本動作はマスターする。
フライバック方式は、100Wぐらいまでのスイッチング電源によく使われている方法です。本稿の最初の説明でもフライバックを例として取り上げました。
フライバック方式には、自励型のRCC(Ringing Choke Converter)、他励型のPWMタイプ、RCCに共振技術を利用した疑似共振タイプの3種類があります。RCCタイプは、システムの補助電源など、主に小電力用途で使用されてきましたが、PWMタイプに比べると設計が少々複雑で、近年PMWタイプのMOSFET内蔵ICが普及してきたこともあり、小電力用途ではPWMタイプが採用されることが多くなっています。疑似共振タイプは専用ICで制御しますが、PWMより低ノイズで損失も小さくできることから、一部のアプリケーションで使われるようになってきました。
AC-DC変換では、スイッチング方式のAC-DC変換に使われることが多いのですが、トランス方式にも使うことが可能です。ただし、リニアレギュレータに比べると部品が増えコストも上がるので、絶縁が必要な場合などに限定されます。
フライバックの特徴は、シンプルで部品点数も少なく済むことです。
出力精度をあまり要求されないアプリケーションでは、トランスの巻線比でおおよその出力電圧を設定し、非安定出力電源として使うこともできます。安定化出力にするためには、スイッチングトランジスタを制御する回路が追加になります。
他に、入力電圧範囲を広く取れるメリットがありますが、比較的大きなピーク電流がスイッチング素子やダイオード、出力コンデンサに流れるというデメリットがあります。二次側(出力)からの帰還をフォトカプラにより絶縁することで、絶縁電源を構築することができます。
フライバックの基本動作について図18を使って説明します。MOSFETがONすると、トランスの一次側巻線に電流が流れエネルギーが蓄えられます。この時、ダイオードはOFFです。MOSFETがOFFすると、蓄えられたエネルギーがトランスの二次側巻線からダイオードを通じて出力され、整流/平滑によりDC電圧が生成されます。このような動作から、ON/OFF方式と呼ばれることもあります。各部の波形を図20に示します。