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2014.05.24 AC/DC

AC/DC変換の基本-AC(直流)・DC(交流)とは、AC/DC変換が必要な理由

AC/DCの基本

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AC(交流)電圧からDC(直流)電圧へ変換する基本的な方法であるトランス方式とスイッチング方式について説明します。また、この項のまとめとして、トランス方式とスイッチング方式の比較検討を行います。

最初に、「なぜ、AC/DC変換が必要なのか?」という、少し原点的なことのおさらいをしたいと思います。

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図 1

図 1

わかりきった話ではありますが、家庭やビルに送られてくる電気は日本では主にACの100Vや200Vです。しかしながら、その電気によって動作する電気製品に組み込まれているほとんどの電子回路は、5Vや3.3VといったDC電圧で動作します。中には、モータ機器や白熱電球など、AC電圧でそのまま駆動するものもありますが、最近はモータとスイッチだけといったような単純な機器はほとんどなく、何らかの電子制御回路が搭載されており、それらはすべてDC電圧で動作しています。また、白熱電球もLEDへの置き換えが進んでいますが、ご存じのとおりLEDは基本的にDC駆動です。つまり、「送電網から送られてくるのはACで、電気製品の心臓部である電子回路はDC駆動のため、AC電圧をDC電圧に変換しなければ電気製品は動かせない。」というのが答えになります。「それなら最初からDCを送電すればいいじゃないか」という話になりますが、ACでの送電が行われているのには、歴史的背景を含む理由があります。

エジソンが、1881年に白熱光ランプの電灯を発明したのはご存じかと思います。実は、当時のアメリカではDCでの電力供給が標準方式で、エジソンは白熱電灯を広めるためにDC 110Vの送電網を展開する事業に取り組みました。ところが、DCでの送電では大きな電圧降下が生じるため1.5kmの範囲にしか送電できず、発電所を街の中に建てる必要がありました。今では信じられないような話です。それに対しテスラは、ACの発電、送電、使用方法を考案し、エジソンと争ったのが電流戦争です。最終的には、簡単に変圧できて電線が長く細くても大きな損失なしに送電できるACシステムの利点をもって、テスラ側が勝利したことで現在に至ります。

ACのメリット
・ACは変圧器を用いて簡単に電圧の変換(昇圧、降圧)ができる。
・高電圧/低電流の送電では電圧降下(I2R損失)を低減できる。
・ACからDCへの変換も容易なのでDC駆動機器への給電も容易。

実際には、発電所からは数千から2万VといったAC高電圧が送られ、家庭の直前で電柱にある変圧器で100Vや200Vに降圧されています。

余談ですが、現状では、宅内のコンセントからの電源がACであるため、各機器がそれぞれにAC/DC変換回路をもつ必要があります。この点に関しては、省力化や小型化といった観点からは無駄と言わざるを得なく、最近、各地で試験運用や研究がなされているスマートハウス構想では、宅内のコンセントから直接DCを給電するシステムも考えられているようです。かといって、電力送電網のインフラが急にDCに変わるわけではないので、AC/DC変換が不要になるわけではありません。このようなシステムでは、家のDC給電装置の大元として高い力率と効率の大電力AC/DCコンバータや、ローカルに中電力のAC/DCコンバータが必要になることでしょう。

さて、続いてもう一つ基本的なことのおさらいをします。前述した中に「ACからDCへの変換も容易」というくだりがありましたが、これが「整流」という作用であり、AC/DC変換の根底なので確認をしておきます。

図2

図2

図2は、整流の基本となる全波整流と半波整流の作用を示したものです。いずれも、入力のAC電圧をダイオードでマイナス側の振幅をクランプします。半波整流は、1個のダイオードでマイナス側をクランプするのみなのでマイナス分がなくなり、呼称の通り半分の波形になります。全波整流は、4個のダイオードを組み合わせたダイオードブリッジを使い、マイナス側を反転させてプラス側に出してきますので全波形がDCとなります。

DC化した後はコンデンサを使い平滑します。平滑してもリップル(Ripple:脈流)は残り、その振幅であるリップル電圧はコンデンサの容量と負荷によって変化します。コンデンサの容量と負荷が同じ場合、全波整流と半波整流では全波整流の方のリップル電圧が小さくなります。

キーポイント

・電子回路からみるとAC/DC変換はDC電源の大元なので、基礎理論は押さえておく。

AC/DC変換の基礎