AC-DC コンバータ|設計編
設計に使うIC
2019.03.12
この記事のポイント
・BM1R001xxFシリーズは強制OFF時間の違う5機種で構成されている。
・パッケージはSOP8で、小型でシンプル。
・シャントレギュレータは低消費電流で高精度で、制御回路電流の低減により待機時電力の削減が可能。
・同期整流コントローラは不連続~臨界~連続モードのすべてに対応し、PWM方式のコンバータにも適用可能。
ここでは、二次側同期整流コントローラICのBM1R001xxFシリーズを使って、ダイオード整流のAC-DCコンバータを同期整流化する設計例の解説をしていきます。今回は設計に使うICであるBM1R001xxFシリーズの概要を確認しておきます。
設計に使うIC:BM1R001xxFシリーズ
BM1R001xxFシリーズは、基本的にAC-DCコンバータの二次側出力段を同期整流化するための同期整流コントローラICです。BM1R00146F~BM1R00150の5機種で構成されており、DRAIN端子に発生する共振波形で二次側MOSFETのゲートオンを防止するためのマスク時間である「強制OFF時間(Compulsion OFF Time)」が異なります。詳細はICの選択の項で説明しますが、同期整流化する回路の条件に基づいて対応する強制OFF時間を選択する必要があり、そのためのバリエーションです。パッケージはSOP8で、小型でシンプルです。
主要な内部機能ブロックは、シャントレギュレータ部と同期整流コントローラ部になります。シャントレギュレータは低消費電流で高精度を特長としており、制御回路電流の低減により待機時電力の削減が可能です。同期整流コントローラは、不連続~臨界~連続モードのすべてに対応し、PWM方式のコンバータにも適用可能です。また、連続モード動作時には、一次側のスイッチング同期信号入力なしで動作可能で、部品点数とスペースの削減が可能です。
また、シャントレギュレータと同期整流コントローラは別々のチップで構成されています。シャントレギュレータが独立していることで、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチのどちらにも対応します。他に、同期整流コントローラのみを使用するなど、様々なアプリケーションに対応することが可能です。
動作電源電圧は2.7V~32Vと幅広く、様々な出力のアプリケーションに対応可能です。また、高耐圧120Vプロセス採用により、ドレイン電圧を直接モニタすることが可能です。
主な特長、仕様、アプリケーションをまとめました。
主な特長 | 主な仕様 |
---|---|
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|
アプリケーション | |
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設計手順に示したように、同期整流化する回路仕様から、BM1R001xxFシリーズのなかから適した機種を選定し設計を進めていきます。
AC-DC コンバータ
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