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2017.12.12 AC/DC

主要部品選定:過負荷保護ポイントの切り替え設定抵抗

SiC-MOSFETを使った絶縁型擬似共振コンバータの設計事例

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今回は、この設計に使用する電源IC固有の機能である、過負荷保護補正機能の設定に関する抵抗値を算出します。

主要部品選定: 過負荷保護ポイントの切り替え設定抵抗R20

最初に、過負荷保護ポイント切り替え設定抵抗R20の回路上での位置を確認してください。この回路図は、全体から該当する部分を抜粋したものです。回路全体の確認に必要な場合には、こちらを参照してください。

今回の設計に使用した電源ICであるBD7682FJは、入力電圧の変動に対して過負荷保護ポイントを補正する機能を持っています。

入力電圧が高くなると、過電流制限が一定の場合は単純に許容電力が増加してしまいます。この補正機能は入力電圧が設定値以上になると、電流制限レベルを下げることにより損失電力を低減して、過負荷時の保護をより確実なものにします。

BD7682FJの過負荷保護ポイントの切り替え設定抵抗を示す回路図

以下に計算例を示します。入力電圧を三相380VACとして設計を進めます。三相380VACの最大値は√2×380VAC = 537VACです。これに、約50%のマージンを取り、切り替え電圧をDC800Vに設定します。

式中のIztはスイッチオン時にICからトランスのVCC巻線Ndに流れる電流です。Iztが1mAを超えると過電流制限レベルを下げ、過負荷保護ポイントを下げます。

BD7682FJの過負荷保護ポイントの切り替え設定抵抗の計算式

次に、過負荷保護ポイントが切り替わった後に、定格負荷が取れるか確認します。過負荷保護ポイントが切り替わると、Vcs=1.0Vが0.70Vになります。これは、過電流制限が0.7倍になることを意味しています。この条件での各パラメータを算出します。

BD7682FJの各パラメータの計算式

BD7682FJのスイッチング波形と時間に関するパラメータ

トランスの変換効率をη=0.85とすると、過負荷切り替え後の出力電力は、以下の式で計算できます。

BD7682FJの過負荷保護切り替え後の電力計算式

この式で、fsw’が計算値の158kHzではなく120kHzになっているのは、電源ICの最大スイッチング周波数が120kHzであるためです。

計算結果が示すように、入力電圧が800VDC以上では、過負荷ポイントが変化し出力電力が19.38Wに制限されます。以下に、参考値として事例回路での実測値を示します。なお、過負荷保護ポイントについては、計算だけではなく製品に組み込んだ状態で確認してください。

BD7682FJの事例回路での過電流検出実測値(参考値)

過電流検出 事例回路での実測値(参考値)

キーポイント

・過負荷保護補正機能はこのICの機能で、入力電圧が設定値以上になると電流制限レベルを下げることにより損失電力を低減して、過負荷時の保護をより確実にするもの。

・切り替え電圧は提示した式に則り計算したR20の抵抗値によって設定する。

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