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喜歌劇「こうもり」紹介

〜 喜歌劇「こうもり」のあらすじ 〜

第1幕:アイゼンシュタインと妻ロザリンデの住む邸

アイゼンシュタイン家の小間使いアデーレに、姉のイーダからの手紙が届く。大富豪の若きロシア貴族、オルロフスキー公爵の邸で、今晩開かれるパーティーへの誘いだった。アデーレは、夜になったら帰らせてもらいたい一心で、嘘をつく。大好きなおばがひどく具合が悪いからお世話をしたいのです、と。女主人のロザリンデは、そう簡単には承知しない。その日の夜は、夫のアイゼンシュタインが刑務所に入ることになっていた。法廷で役人を小ばかにした罪で罰せられるのだ。だから、ロザリンデはアデーレには家にいてもらって、夫が発つ前の最後の食事を給仕してもらおうと考えていた。2人がそんな話をしているところにロザリンデのかつての恋人、アルフレートがやってくる。ロザリンデはアルフレートをやっとのことで追い返す。夫が刑務所に入ったあとだったら、戻ってきてもいいから、とうけ合って。やがて、夫のアイゼンシュタインが帰宅した。刑を取り消せなかった弁護士ブリントにアイゼンシュタインはカンカン。さんざんののしったあげくに、 ブリントを家から追い出してしまう。
アイゼンシュタインの友人、ファルケ博士がそこに訪れる。こっそりアイゼンシュタインを引き寄せると、オルロフスキー公邸のパーティーに行かないか、きっと可愛い娘がわんさといるぞ、とアイゼンシュタインをそそのかす。その気になった、アイゼンシュタイン。パーティーに顔を出してから刑に服せばいい、といそいそと身じたくを始める。一方、夫が夕飯もとらずに出かけることに気づいたロザリンデ。今度は一変、アデーレに、夜はもう帰ったら、と持ちかける。こうしておけば、好都合。家には今晩、誰もいなくなるからアルフレートは戻ってきやすくなる。
夜になり、何くわぬ顔で戻ってきたアルフレートは亭主気取りでふるまう。そこに、アイゼンシュタインを連行しに来た刑務所長のフランクがやってきて、アルフレートをロザリンデの夫だと早とちり。アルフレートはアインゼンシュタインになりすましたまま、刑に服するためにフランクに刑務所に連れ去られる。一方、ロザリンデにもオルロフスキー公のあやしげな夜会の招待状が届けられるところで、この場面は幕を閉じる。

第2幕:オルロフスキー公爵邸

第2幕:オルロフスキー公爵邸

パーティーには、続々とゲストが到着している。ファルケ博士は今晩仕掛けたちょっと したイタズラを、この夜会の主催者、オルロフスキー公爵に説明している。博士は3年前、アイゼンシュタインの悪ふざけのせいで、仮装パーティーの帰りにひどい恥をかかされた仕返しをしようとしていた。アイゼンシュタインは、こうもりの衣装のまましたたかに酔いつぶれたファルケ博士を、路上に置き去りにして帰ってしまったのだ。明るくなって目を覚まし、こうもりの恰好であたふたと家に帰るファルケ博士は、町のいいお笑いぐさになったというわけだ。
今度はアイゼンシュタインを笑いものにしてやろうとたくらんだファルケ博士は、こんなふうに仕組んでいた。アイゼンシュタイン家の小間使いアデーレも夜会に招いて、女優の“オルガ”として紹介し、刑務所所長のフランクは“騎士”に仕立て、アイゼンシュタインには“侯爵”と名乗らせ、ロザリンデは仮面をつけた“ハンガリーの伯爵夫人”に変装させた。アイゼンシュタインはまさか自分の妻だとは気づかぬまま、仮面をつけたロザリンデを口説こうと猛烈にアタックする。ロザリンデも正体を気づかれていないのをいいことに、夫が大切にしていた懐中時計をまんまとだまし取る。誰もが役になりきり、つかの間のお楽しみを求めて大騒ぎ。それでも、深夜を告げる鐘が鳴り響いたら、アイゼンシュタインはこの茶番から抜け出さなければならない。アイゼンシュタインは慌てふためいて刑務所にすっ飛んでいく。

第3幕:刑務所

第3幕:刑務所

一方、こちらは刑務所。アイゼンシュタインと間違えられたアルフレートは、鉄格子の奥で悶々としていた。侯爵のいでたちのまま刑を受けようとアイゼンシュタインがやってきたが、そこで出会ったのは、なんと先ほどの“騎士”。この人物がまさしく、刑務所長だったとは。へべれけに酔った看守、フロッシュは2人の変装を見ているうちにわけがわからなくなってしてしまう。この混乱のさなか、まだ女優の恰好をしたアデーレが、いい舞台の仕事を紹介する、と約束してくれた“騎士”に詰め寄ろうと刑務所に押しかけてきたものだから、さらにてんやわんや。そこに、愛人アルフレートを助け出そうと、ロザリンデも現れる。アイゼンシュタインはとっさに弁護士ブリントになりすましたはいいが、 妻の浮気を知ってしまう。すったもんだの果てにロザリンデも負けずに、アイゼンシュタインが昨夜ついた嘘をあげつらう。そうこうしているうちに、お互いに許しあう気持ちを思い出し、夫婦喧嘩がようやく収まる。何もかも、シャンパンがいけなかったのだ!

(演出家 デイヴィッド・ニース記 『こうもり』
2016年公演プログラムより転載)

登場人物 相関図

登場人物 相関図

「子どものためのオペラ」紹介