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留学を振り返って(石原 悠企さん)5/15

石原 悠企さん/Mr.Yuki Ishihara
(専攻楽器ヴァイオリン/violin、指揮/conductor)

[ 2023.05.23 ]

ベルリン芸術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の石原悠企です。

二年間に渡るご支援をいただき、厚く御礼申し上げます。

 

私の奨学生期間ならびに留学期間が終わろうとしている今、改めてこの留学生活を振り返り、その意義をここにご報告したく思います。

 

<指揮ワークショップの様子>

 

 

留学して良かったと感じる点の1つ目として、まず、本場の芸術や思想に多く触れることが出来たということが挙げられます。

数多くの演奏会やレッスンを経験できたことの有難さは勿論のこと、クラシック音楽文化の中心であるヨーロッパで生活することで知り・感じたことは、私にとって非常に豊かな経験となりました。

 

例えば、様々な教会での演奏経験から想像できる宗教音楽の響きの理想や、街並みとそこに住む人々から感じる文化や思想の違い、気候や天候などからも様々な作品や演奏スタイルが生まれた理由を知ることが出来たりなど、多岐に亘る方向性での「文化としての音楽」を感覚レベルで理解できるようになってきたことには留学の大きな恩恵を感じております。

 

 

留学の意義を感じる点の2つ目は、レベルの高い世界に身を置くことで多くの可能性が開かれたことです。

元々はヴァイオリンを学びに行くだけのつもりで始めた留学でしたが、レベルの高い周囲の環境に動かされて様々なものに挑戦する事となりました。

ソロや室内楽での国際コンクールへの参加・受賞や、昔から憧れだったオーケストラ、バイエルン放送交響楽団でのアカデミー生活、更にはドイツで指揮を学び・活動するなど、どれも日本にいた頃には考えられないような出来事でした。

 

 

留学して良かったことの最後の3つ目は、多くの素晴らしい音楽家・音楽家仲間と出会えた事です。

ベルリンでお世話になった先生方や共に励まし助け合った学友、ミュンヘンでのオーケストラの団員やアカデミーの同僚、それに限らずコンクールやマスタークラス等でのヨーロッパ各地での人々との出会いは、今後の人生に於いても掛け替えのない繋がりとなりました。

 

<ヴァイオリン卒業試験後の様子(先生と)>

 

 

20代の殆どを費やした留学ですが、それを選択したことへの後悔は一切なく、この厳しくも美しい経験を享受できたことに深く感謝しております。

ヨーロッパでの8年以上の生活を経て、現在は日本への完全帰国を検討しています。

 

私が得られた幸福を日本と世界の皆様に少しでも還元できますよう、今後も芸術の道を邁進してまいります。