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多くの室内楽曲に触れて(開原 由紀乃さん)5/6

開原 由紀乃さん/Ms. Yukino Kaihara
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2023.05.19 ]

ベルリン芸術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の開原由紀乃です。

 

ベルリンでの留学生活は、本当に充実したものですが、ここ1年あたりは、室内楽の作品を中心に取り組んでいます。

特に弦楽器との作品のレパートリーを広げており、弦楽奏者と音楽を共有し演奏する事は、私にとっては何よりの学びとなっています。

 

 

 

ドイツではいろんな演奏機会がありますが、最近では演奏することに加えて素敵な会場に出会えることも楽しみの一つになっています。

特にベルリンから40分程電車で行ったポツダムという所で演奏した時の会場は、空間は小さいながらも、とても素敵な装飾が施されていて素敵でした。

 

 

また、様々な場所に演奏に出向くと、日本とは違い、ピアノの状態が不十分であったり、滞在期間中練習する場所がないなど、訪れた先でも演奏以外の問題に直面することも多々ありますが、どんな状況でも本領を発揮しなければならないので、精神的にもピアニストとしてもとても鍛えられます。

これも海外ならではだと感じます。

 

 

ベルリン芸術大学で師事しているレーマン教授のレッスンでも室内楽の曲を1人で、もしくは弦楽器の方と一緒に受けたりしています。

レーマン教授の室内楽の作品においての音楽の構築や解釈は毎回心から感銘を受け、今まで見えなかった漠然としていたものも明確になったり、音楽を共演者と自由に創り上げていくことの楽しさを噛み締められるようになりました。

 

 

 

昨年の10月には、チェロのオーディションの伴奏でハンブルクに行ったり、11月にはベルリン芸術大学で行われたコンサートでチェリストと演奏させて頂いたりと、とても有意義でした。

チェロだけでなくベルリン芸術大学のヴァイオリンのクラスも担当することになり、短期間で沢山の作品を譜読みし、音楽を創り上げて本番で演奏するという機会も増え、今後に繋がる刺激的な経験を積むことができています。

またこのような室内楽で培ったもの、共演者と共有した音楽は自身の音楽の感覚や概念にとても良い影響を受けていると心から感じております。

沢山の作品と演奏者との出会いに心から感謝する毎日です。

 

12月には、ベルリンにあるMendelssohn-Remiseというところでチェロリサイタルのピアノで出演させて頂きました。

この会場は教会のような響きで、日本では味わえない雰囲気でとても新鮮でした。

ベートーヴェンのチェロソナタからヒナステラのチェロソナタまでと幅広い世界観の音楽を一緒に創り演奏できたことは、とても幸せな経験でした。

 

今後も、一瞬一瞬を大切に精進していきたいと思います。