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今までを振り返って(橘和 美優さん)4/30

橘和 美優さん/Ms. Miyu Kitsuwa
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2023.05.9 ]

東京音楽大学大学院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の橘和美優です。

 

ロームミュージックファンデーション奨学生として過ごした2年間で3つの大きなコンクールに挑戦しました。

ありがたいことに、2021年に受けた東京音楽コンクールでは第2位と聴衆賞、2022年に受けた仙台国際音楽コンクール第5位、2023年に受けた宗次エンジェルバイオリンコンクール第1位、併せて中部フィルハーモニー管弦楽団賞、聴衆賞を頂く事ができました。

 

<コンサートでの様子>

 

 

この2年間自分の中で1番変わった事は、舞台の上での心の持ち方です。

 

楽器を専門的に学んでいる人は、幼少期から徹底した基礎の訓練をしなくてはなりませんが、普通はそこで培った技術を使って、音楽表現へと繋げていくのだと思います。

しかし私の場合は、バイオリンを弾く時に、技術的な事が頭をよぎり、練習でも本番でもそればかりを追い求め、音楽表現まで至らない時期がかなり長い期間ありました。

 

ジュニアのコンクールではそれで通用していましたが、シニアのコンクールでは全く太刀打ち出来ず、予選落ちが続きました。

そこから、舞台の上で音楽を表現するということを1番の目標とし、様々な事に挑戦する様になりました。

 

 

室内楽を勉強させて頂いた事もその取り組みの1つです。

自分の音だけでなく、他の人の音を聴き溶け込んだり、前に出たりしながら1つの音楽を作りあげる事は、楽しくもあり苦しくもある事でした。

自分の中にある感覚を言葉にして仲間に伝える事は、思いの外難しく、喧嘩の様になってしまった事もありました。

 

また、自分では表現しているつもりが、相手には全然伝わっていない事もよくありました。

それでも決して諦めずに取り組むと、自分の価値観とは違う仲間を理解しようとした時に生まれたハーモニーや、自分を思い切り開放して弾いた時のお客様の反応に感動し、大きく変わる事が出来た様に思います。

ここで感じた感動をソロの舞台でもやってみたい!

こう思ってから、それがコンクールであっても、あまり緊張しなくなった様に思います。

 

<室内楽での様子>

 

 

2021年から2023年までに受けた3つのコンクールではオーケストラとの共演がありました。

ソリストとして、オーケストラを引っ張っていく様な明確な意志を持ち演奏する事。それ以上に私が舞台の上で心掛けていたのは、【オーケストラの皆様と一緒に音楽を作る】という事です。

そこに集中した時、いつのまにか以前は常に頭を掠めていた、技術的に完璧に弾きたい!という思う暇などなくなりました。

 

オーケストラの方達と、その瞬間だけでしか生まれない音の響きを感じ、表現する事は本当に楽しく、やっとバイオリニストとしての入り口に立てたように思いました。

 

 

振り返ってみると、ロームミュージックファンデーション奨学生として過ごした2年間は、私にとって人生の中で最も飛躍出来た2年間でした。

バイオリニストになりたい!という私に、経済的にはかなり無理をして私のバイオリンに関わる事をさせてくれていた両親には、なるべく迷惑をかけたく無いとの思いで、今まで勉強して来ました。

 

ロームミュージックファンデーション奨学生に採択されてから、沢山のレッスンや、講習会、コンクールに思う存分挑戦する事が出来たおかげで、沢山の結果を出す事ができ、大きく成長させて頂くことが出来ました。

ご支援頂いた事に、感謝の思いで一杯です。

本当にありがとうございました。