大きな挑戦の一年(亀井 聖矢さん)1/17
亀井 聖矢さん/Mr.Seiya Kamei
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2023.02.7 ]
桐朋学園大学
ロームミュージックファンデーション奨学生の亀井聖矢です。
2022年、僕は3つの国際コンクールに挑戦しました。
コンクールがすべてだとは思いませんが、やはり自分を大きく成長させてくれる舞台になるし、自分を新たなステージへと押し上げてくれるものであると実感しています。
コンクールへ挑戦していく中で大きく変わっていったのは、「コンクール」というものに対する向き合い方です。
まず4月に受けたマリアカナルス国際コンクールでは、結果を出さなければという意識があまりにも強く出てしまい、タッチが力んでしまい思うような演奏ができないままステージが終わりました。
結果に対して悔しかった思いはありません。
自分の出来栄えに対して、第3位という結果は、極めて光栄だったと思います。
1位を獲れなかったことよりも、自分のしたい表現を大舞台で出しきれなかった、というのがとても悔しかったです。
次に6月にチャレンジしたヴァンクライバーン国際コンクール。
このコンクールは、予備予選の時点で既にかなりの倍率から選出していただいていたので、本審査の30人に選ばれただけでも光栄だという気持ちで、比較的リラックスして臨めました。
ただ、そのリラックスしようという意識が、音楽に対するストイックさにまで少し影響してしまっていたかもしれないと、今振り返って思います。
アメリカの時差に馴染めず体調的にも万全な準備をできぬまま本番を迎え、表現の幅に疑問が残っていたり、プログラム自体の芸術性にも疑問が残っていたり、また、海外のオーケストラを上手く引っ張っていくことの難しさを痛感したりと、新たな課題に直面したコンクールでした。
それでも、配信などを通じて、国内外の方から多くのコメントやチャット、嬉しい応援のメッセージが届き、自分の演奏を好きだと感じてくださる方が一人でも増えたなら、それは大いに意味のある挑戦だったと思えています。
そして3つ目、ロンティボー国際コンクール。
色々な先生方のレッスンを受け、改善点に何度もぶち当たり何度もスランプを感じながらも、さまざまな面から音楽に向き合ってきました。
このコンクールでは、結果に対してまったくナーバスにならず、且つ音楽に対しては全くルーズにならず、という精神状態を意識しました。
楽譜に書かれていること、そして自分の表現したい音楽に集中して、大きな舞台で今できることは出し切れたかなと思っています。
結果として第1位及び2つの特別賞という大変光栄な賞をいただくことができ、ホッとしています。
これらのコンクールは、国内での精力的な演奏の機会や、いくつかの海外での演奏の機会といった、人生に前向きな変化をもたらしてくれました。
ただ、自分がやっていくべきことは、これまでもこれからも変わらないと思っています。
さらに目指したいコンクールもありますし、まだまだ勉強したい作品、分野も数えきれません。
これからいただける一つ一つの機会に全力で向き合って取り組み、いついかなるときも自分の中の100%の音楽を表現し続けていけるよう頑張っていきます。