指揮科の学生生活について(石原 悠企さん)12/31
石原 悠企さん/Mr.Yuki Ishihara
(専攻楽器ヴァイオリン/violin、指揮/conductor)
[ 2023.01.6 ]
ベルリン芸術大学
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の石原悠企です。
昨年度に引き続き多大なるご支援をいただき、心より感謝申し上げます。
今年度より、ベルリン芸術大学ではヴァイオリン科だけでなく、指揮科の学生としても在籍する事となりました。
今回のレポートでは、ヨーロッパの音楽大学での指揮科の生活について、皆様に簡単にご紹介いたします。
<ブランデンブルク交響楽団とのリハーサルの様子※指揮は本人ではありません>
指揮科が受けるレッスンや授業は多岐に渡ります。
レッスンは指揮はもちろん、その他に合唱指揮、オペラのコレペティトール(弾き歌い)、スコアリーディング(オーケストラスコア譜をピアノにリダクションして演奏する)と通奏低音、人によって副科ピアノや声楽などもあります。
授業には厳格対位法、アナリーゼ、ソルフェージュ、楽器学、イタリア語なども。
新学期が始まって3ヶ月ですが、今もこれらのレッスンと授業をこなすだけで必死です。
それに加えて、不定期に様々なプロジェクトもあります。
ベルリン芸術大学のオーケストラとのワークショップ、ブランデンブルク交響楽団とベルリン芸術大学共催の演奏会など…
それに加えて私はヴァイオリンのレッスンや演奏会もあり、充実ながらもてんてこ舞いの生活を送っています。
指揮のレッスンでは、日本で学んだ齋藤メソッドとは違うテクニック、指揮法が求められ、その技法を獲得することや個人的な癖を修正することに注力しています。
<ヴァイオリン演奏の様子>
その他のレッスンの中で、個人的に特に大変なのはオペラのコレペティトールのレッスンです。
ヨーロッパの指揮者のキャリア作りの伝統として、歌劇場で下積みを重ねるというのは基本ですが、ベルリン芸術大学の教育プログラムにもその影響が感じられます。
レッスンではオペラを指揮する為だけでなく、歌手に稽古をする為に必要な技術の訓練も行います。
今セメスターはヴェルディの『椿姫』を取り上げていますが、初めてのイタリア語に苦しみつつその世界を学んでいます。
指揮科に在籍して学生生活を送る中で、指揮者には総合的な音楽能力、そして人間としての器の広さを求められるということを実感しました。
今まで修練してきたヴァイオリンやバイエルン放送交響楽団のオーケストラ・アカデミー生活で学んだことを活かし、今後もより一層精進して参りたく存じます。