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室内楽、オーケストラを通して学んだこと(橘和 美優さん)12/1

橘和 美優さん/Ms. Miyu Kitsuwa
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2022.12.2 ]

東京藝術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の橘和美優です。

東京藝術大学の学生として、残り4ヶ月となりました。

 

今年は、2020年、2021年に受けた日本音楽コンクールや東京音楽コンクールで、楽譜に書いてある事を丁寧に演奏する事は勿論、その他に作曲家の意図を楽譜から読み取る力、アンサンブル能力、自分が感じた事を聴いている人に伝える力を養う事が大切なのだと感じ、室内楽やオーケストラなどソロ以外の分野にも積極的に挑戦して行く事を課題にしました。

 

<小澤征爾音楽塾での様子>

 

それらは、1人練習室に篭り練習するだけでは得る事が出来ないと思い、8月末から9月にかけて小澤征爾音楽塾に参加をさせていただいたり、10月からは弦楽四重奏でプロジェクトQにも参加させていただいております。

また、11月には過去のローム ミュージック ファンデーション奨学生のお2人とトリオのコンサートもさせていただきました。

 

 

小澤征爾音楽塾では、原田禎夫先生をはじめとした素晴らしい先生方に指導をしていただき、オーケストラとはどういうものなのか、音楽とはなんなのかを改めて学ぶ機会となりました。

前半の演目は、オペラ「フィガロの結婚」を演奏し、コンミスをさせていただきました。

初めてオーケストラピットの中に入り、コンミスとして演奏させていただけることは、私にとってとても大きな経験となりました。

 

その中で、コンミスとしてどのようにアプローチをしていけばいいのかを悩み、同世代の塾生たちと意見を出し合いながら、もし自分が後ろにいたらどのように感じ、どう弾いて欲しいのか、自分がこう演奏したいということをただ伝えるのではなく、オーケストラだからこそみんなでひとつの音楽をすることを忘れないことがとても重要だと感じました。

同世代の演奏家と自分の意見を出し合いながら学べたものもすごく多かったと感じます。

 

後半の演目では、ベートーヴェン第5番「運命」を演奏しました。

オペラとシンフォニー、どちらも共通して「オーケストラでも1回思いっきり弾いてみて、そこから削ることは簡単なんだから!」と仰って下さっていたのがとても印象的でした。

みんなで演奏していても1人で演奏するのと同じで、常に表現をする事の大切さを教えていただき、約20日間の期間で大きく成長でき、今後の音楽人生を大きく変えてくれるような経験をさせていただきました。

 

 

プロジェクトQでは、東京カルテットの原田禎夫先生や原田幸一郎先生、ビジョンカルテット、今井信子先生、小栗まち絵先生のレッスンを受講しました。

今年のテーマはハイドンで、ハイドンというシンプルだからこそ複雑な作品を素晴らしい先生方から指導していただき、課題としているコントラストをつけるという点で細かく強弱やアプローチの仕方を教えて頂き、ただ綺麗に演奏するという事だけを考えず、どんな曲でもエモーションを持って演奏することの大切さを教えていただきました。

 

 

11月には、過去のローム ミュージック ファンデーション奨学生でもある、ピアノの加藤大樹さんと、チェロの笹沼樹さんと ピアノトリオでサロンコンサートをさせて頂きました。

沢山の経験を積んでいらっしゃるお二人と演奏できたことは本当に貴重で幸せな時間になりました。

合わせの時から、曲に対するアプローチの仕方や和声感など、言葉にしなくても音楽を通して示して下さる2人の音楽に引っ張って貰いながら、少しずつ自分も音楽を通して何かを伝え、意思疎通をするという事を学ぶことが出来ました。

 

本番では2公演同じプログラムで演奏をさせていただきましたが、どちらも全く同じではなく、その場で音を楽しむという感覚が自分の中でもあり、ひたすら音楽をすることが楽しく、幸せだなと思いながら2公演無事終演することができました。

 

<トリオでのサロンコンサートの様子>

 

 

室内楽やオーケストラを深く学ぶ機会をたくさんいただき、自分に足りないアンサンブル能力以外にも音楽で表現するということを学ぶことができたと思います。

引き続き音楽と真摯に向き合いながら、さまざまな経験をさせていただき、音楽の幅を広げていきたいと思います。