奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

総合芸術を学ぶということ(高橋 維さん)5/1

高橋 維/Ms. Yui Takahashi
(専攻楽器声楽/voice)

[ 2022.06.17 ]

ウィーン市立音楽芸術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の高橋 維です。

 

伝統とモダンが調和するウィーンという街で、劇場や美術館、あらゆる文化的なものに囲まれたとても贅沢な環境で生活させていただいています。

 

<シュテファン大聖堂の前で>

 

「今まで培ってきたことをオペラの役として消化する」という目標のもと、在学しているウィーン私立音楽芸術大学大学院ではオペラのレパートリーのブラッシュアップや新しいレパートリーの獲得に努めています。

指揮者として国際的に活躍するニールス・ムース教授から、指揮者の観点でオペラを学べることはとてもありがたいです。

歌唱テクニックや歌曲のプライベートレッスンも定期的に取り入れ、劇場やコンサートにも足を運びながら日々勉強を続けています。

 

2021年9月には、東京二期会オペラ劇場『魔笛』(ギエドレ・シュレキーテ指揮、宮本亜門演出)夜の女王役、2021年11月には、東京二期会オペラ劇場『こうもり』(川瀬賢太郎指揮、アンドレアス・ホモキ演出)アデーレ役を演じる機会に恵まれました。

どちらもウィーンをルーツとした作品であったことで、留学で学んだことを実践し成果を発表する良い機会になりました。
『魔笛』は2015年に行われた公演の再演で、その際にも私は夜の女王役で出演いたしました。

ウィーンで夜の女王役を再勉強し、成長した姿をお見せできたのではと思います。

 

また、『こうもり』のような演じる要素がより強いオペレッタにおいて、ドイツ語のテキストのニュアンスやキャラクターがより深く理解できるようになったのは、現地で勉強することによってこそ得られたものだと確信しています。
ヨーロッパで生まれたオペラやオペレッタのキャラクターを演じる上では、音楽感や語感はもちろんのこと、身体表現も大変重要な要素になってきます。
価値観や美意識、動作や表情の使い方、キャラクターの捉え方などが日本とは違うということを常に意識し、日常生活の会話や動作からも学ぶように心がけています。

これからも身体表現も含めた総合的な表現を目指していきたいと思っています。

 

 

続くコロナ禍で、オーディション等の機会も少ないですが、残りの研修期間ではより積極的に挑戦する機会を作っていきたいと考えています。

制約の多い中でも、芸術を必需品と考え文化的な生活を大切にしている現地の人々に触れるにつけ、私も心身ともに健やかでいることを心がけようと感じています。

音楽的・技術的なことも多く学んでいますが、こうした精神的な面でも大きく影響を受けているように思います。