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ベルリン芸術大学ギター科修士課程修了までの半年間を振り返って(山下愛陽さん)8/1

山下 愛陽さん/ Ms. Kanahi Yamashita
(専攻楽器クラシックギター/classical guitar)

[ 2021.10.18 ]

学校名:ベルリン芸術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の山下愛陽です。
2020年度奨学生としての後半期間は、学士時代からミュラー=ぺリング教授の下で計6年間在籍したベルリン芸術大学ギター科修士課程を修了する大きな節目でした。

<2021年4月にリリースしたソロアルバムSelected Works VIII – Guitar solo Kanahi Yamashita>

 

当大学では2回にわたるコンサート形式の修了試験が行われ、内容はそれぞれ、ピアノ伴奏での協奏曲、そしてソロ及び室内楽を含む約90分のリサイタルです。

まずは2月に、同じくローム音楽財団奨学生であるピアニストの久末航さんとブラジル人作曲家、E.ヴィラ=ロボスのギター協奏曲を演奏しました。

第2回目は6月末に行い、F.マルタン、M.ポンセ、L.ブローウェルなどのソロ楽曲、そして室内楽は同級生のフルート奏者、マリン・ジーバーンズと共演しました。

彼女とは数年来デュオに取り組んできており、今回はG.クレーベの現代作品、そしてバッハの「フルートとオブリガートチェンバロのためのソナタ BWV 1030 ロ短調」を演奏しました。

チェンバロのパートをギターに編曲するのは一見単純かと思いきや、細かなところに工夫が必要で、試行錯誤しながら納得できる響きを探り当てるのは、思った以上に時間がかかりましたが、楽しい作業でした。

修了試験に備えて学内で数回にわたり試演し、音楽学部全体から選ばれた室内楽グループが演奏するCorporate Concertでの演奏は、大学のホームページを通してライブ配信されました。

 

<ベルリン芸術大学Corporate Concertの様子>

 
ドイツはコロナウイルス感染対策による行動制限、特に文化活動に対する制限が非常に厳しく、修了試験は非公開になってしまいました。

多くの人に聴いて頂けなかったことはとても残念でしたが、ギター科の先生方全員の満場一致の最高点を頂いたことは嬉しかったです。

この期間にはドイツ西部で開催されたイザローン国際ギターコンクールにも参加しました。

3月、5月にそれぞれ1次、2次のビデオ審査が行われ、計110人の参加者から5人のファイナリストに選ばれました。

コロナや直前の洪水などの影響を心配しましたが、本選は無事に7月末のイザローン国際ギターフェスティバルの一環として行われ、久々にたくさんの聴衆の前で弾くことができました。

第2位を受賞しましたが、フェスティバルに集うヨーロッパの第一線のギタリストたちが感想を伝えに来てくれたり、有意義なアドバイスをしてくれたことが何よりの収穫でした。

また、彼らのコンサートを聴いて、プログラム構成や独自の世界を築いていくための戦略や工夫等、これから演奏家として活動していく中で最も重要となってくる課題やポイントについて短時間で多くを考えさせられ、学んだ機会でした。

 

<イザローン国際ギターコンクール本選会での演奏の様子>

 
今秋から新たにニュルンベルク音楽大学の大学院生として、新しい環境で、各時代の楽曲の演奏様式に重点をおいて研鑽を積んでいきます。

2021年度の奨学生としても選考していただき、さらに1年間ローム音楽財団奨学生として活動させていただけることに、心から感謝申し上げます。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。