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帰国を待ちながら(山本明尚さん)3/24

山本 明尚さん/Mr.Akihisa Yamamoto
(専攻楽器音楽学/musicology)

[ 2021.07.14 ]

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の山本明尚です。

現在私はモスクワの中心部にあるロシア国立芸術学研究所に留学しており、博士候補論文(日本の博士論文にあたる)の提出を目指して研究活動をしています。

<帰国後、オンライン授業の様子(2021年3月撮影)>

 

研究対象にしているのは、1917年のロシア革命以降1920年ごろまで活発に活動したプロレトクリトという文化団体です。

音楽学領域ではこの組織に関する研究の蓄積がありませんので、現地の文書館・図書館でのほとんど一からの資料調査が必要不可欠です。

そのため、貴重な現地調査や、専門家からの指導を仰げる機会をいただき、たいへん感謝しております。

 

<写真1:モスクワの劇場でのチャイコフスキー《スペードの女王》上演後のカーテンコール。ふたたびモスクワでオペラやバレエを見られるのを心待ちにしています。(2019年9月撮影)>

さて、いまさら私の口から言うまでもありませんが、昨年から本年は、世界中の皆様にとって困難な時期が続いています。

私にとっても例外ではなく、2020年6月にはビザの期限やモスクワの状況の悪化に鑑みて、住んでいたモスクワから日本に帰国することとなってしまいました。

アーカイヴ調査や図書館の調査を中途で切り上げなければならかったのは心苦しくはありましたが、幸いなことに必要最低限の資料は写真を撮ったりコピーを取ったりしていたので、ひとまずそれを読み込んだり分析したりすることができました。

また、何よりも嬉しかったのは、現地の先生方や研究所スタッフの皆様も大変親切に接してくれたことです。

支えてくださった皆様のおかげで、現地調査ができないなりに研究の進捗を生み出すことができたのではないかと思っています。

 

<写真2:帰国前、感染対策がとられる以前のモスクワ。この日は吹雪でした。(2020年2月撮影)>

 
大変だという話ばかりしても仕方がありませんので、将来の明るい話題を書きたいと思います。

帰国から月日が経ち、ここ半年ほど、折を見てどこかの時期でモスクワに帰れればと思っています。

現地の感染者数の増加や、それとは全く関係のないビザ周りの法律変更(!)のせいで帰国申請がなかなかうまく行かず、3月末現在まで日本でこつこつと研究活動を続けていましたが、現在出している申請の通りロシア側から招待状が無事に発行された折りには、4月下旬にはモスクワに帰国できる予定です。

何度目かの正直かになり、無事に帰国できることを祈っていただけますと嬉しいです。

現地で思い出のためにと撮影した写真を見返しては、モスクワへの慕情をつのらせています(写真1、2)。

モスクワとペテルブルクで私を待っている未だ開かれたことのないアーカイヴ資料、モスクワで感染拡大防止の条例が出てから丸一年お会いしていない先生方や大学院のスタッフの皆様に対面するのが、今は心から楽しみです。

ちなみに、ロシア製のワクチンを打つかは……まだ、未定です。