コロナ禍での留学生活(野上真梨子さん)12/31
野上 真梨子さん/Ms.Mariko Nogami
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2021.03.15 ]
学校名:ベルリン芸術大学国家演奏家資格課程
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の野上真梨子です。
日頃より多大なるご支援を頂き、心より感謝申し上げます。
2020年はコロナウイルスの影響で私の生活も大きく変わりました。
<ベルリンのサロンでの収録の際に撮ってもらった1枚>
3月頃から日本とドイツで予定されていた演奏会やコンクールは全て中止や延期となり、先の見えない状況に。
人前で演奏する機会が失われる中、どのように勉強を継続するか、どんな活動が出来るか、考える必要に迫られました。
大きな時間が出来た事を機に、勉強したかった作品に取り組む事にしました。
今までのようなコンクールに追われる生活の中で、それに関係なく新しい作品をレパートリーに加える事は中々難しかったのですが、この期間にモーツァルトやシューベルトのソナタやブラームスの小品集などを時間をかけて勉強する事ができました。
音楽学生にとって何より大切なのはレッスンですが、在籍しているベルリン芸術大学でも対面授業が禁止されていた時期があり、私は約半年間オンラインでレッスンを受けていました。
10月からようやく現地で対面レッスンを受ける事ができ、そこで久々に教授の生の音楽に触れ、その「生」である事の必要性と、その環境で勉強できる有難みに気付かされました。
<秋のベルリン芸術大学>
しかし、ドイツではコロナ感染者数が次々と増え、11月からは部分的ロックダウンの中での生活となりました。
12月に学校のクラスコンサートに出演した際も、普段ならば多くのお客様がいらして下さるのですが、今回は規則のため客席にいたのは教授と数人の学生のみ。もちろん寂しさもありましたが、それでも久しぶりに大きなホールで素晴らしいピアノを演奏し、音楽が出来る事の幸せを改めて感じました。
コロナ禍でも一人で練習する事は継続していましたが、やはり舞台での経験や誰かに演奏を聴いていただくことで成長できる部分も非常に多いと思っています。
この状況でも何か出来る事は無いかと考え、最近は自宅で演奏を収録しYouTubeに投稿しています。
マイク等の機材を揃え、録音や編集の勉強 そして実践… 試行錯誤しながら始めた活動ですが、いまではベルリンの自宅はすっかりスタジオ状態に。
動画を上げる事がひとつのモチベーションとなり、ロックダウン中のベルリンでの生活を有意義にする事ができました。
また、ありがたい事に沢山の方々に聴いていただき、そこで頂く温かいお声は日々の練習の大きな励みとなっています。
<ベルリンの自宅での演奏動画収録の様子>
これを書いている2020年12月末現在、ヨーロッパも日本もコロナ感染者数が増え続け、亡くなる人も後を経ちません。
今回のコロナ禍は私が音楽家として、一個人として何が出来るか色々と考えさせられるきっかけとなりました。
見通しの立たない今だからこそ模索を続けて、今後の留学生活も精進して参ります。
〈野上真梨子 YouTubeチャンネル〉
https://m.youtube.com/channel/UCie_7zYUpqUDNl4dEj9WeA