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2020という年(木口雄人さん)11/25

木口 雄人さん/ Mr. Yuto Kiguchi
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2020.12.25 ]

学校名:ウィーン国立音楽大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の木口雄人です。

心穏やかではない2020年でしたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

<ブラームス国際コンクールの入賞者コンサートにて>

 

私は、3月に1度目のロックダウンを丸々3か月、再び11月にも2度目のロックダウンを1か月経験しました。

そして未だに信じられないことですが、この穏やかで美しい街ウィーンはテロの襲撃にも遭いました。

幸運にも私は在宅でしたが、その後しばらく街にはコロナとの二重苦で本当にピリピリとした空気が流れ、初めての経験に大きく戸惑いました。

しかしこれだけ苦しい世の中でも、音楽を続け希望を繋いでいくことも音楽家の使命だと、ウィーンでの暮らしを通して感じております。

 

出だしから重たい話になってしまったので、、、少し明るい話を!

 

9月にペルチャッハ(オーストリア)という街で催された“ヨハネス・ブラームス国際コンクール”に、普段から歌曲デュオを組んでいる森野美咲さん(2011年度奨学生)と参加していました。

彼女は声楽部門第1位を、私は最優秀歌曲伴奏賞を、大変光栄なことに頂くことができました!

2020年という難しい年にこのような賞を頂けたこと、幸運に恵まれたことに、言葉にならない思いが溢れます。

期間中は集中しながらも、少し歩けばヴェルタ―湖があり、素晴らしい景色と共にブラームスへ思いを馳せたり、湖畔を散歩しながら練習や本番の疲れを癒すことができる、素敵なコンクールでした。

 

<ヴェルター湖沿いから見る景色>

 

また有難いことに、今回一緒に受賞した森野さんと初めてデュオCD「Small Gifts ~Christmas & Winter Songs~」を作る機会を頂きました。

実は、彼女は岡山の高校時代の同級生で、古くからの大事な友人でもあり、こうしてデュオでの活動を評価して頂き、そしてCDまで作れたことは、大変感慨深いです。

今回私は演奏だけでなく編曲も手掛けたため、気に入っていただけるかドキドキしておりますが、支えてくださる皆様に感謝の気持ちを込めて作りました。

ぜひ一度お聴き頂けますと嬉しいです(YoutubeやiTunesなどの音楽配信サイトなどでご視聴頂けます!)

 

10月に入り学校が再開された矢先、オーストリア国内ではコロナ感染者が急増し、現在も直接レッスンを受けるのは難しい状況にあります。

目下、来年のコンクールに向けての準備をしているのですが、大学の授業・レッスンは全てオンライン推奨となり、学生は自宅もしくは学校で部屋を借り、携帯やパソコンを通して先生にご自宅からレッスンして頂くシステムになりました(写真参照)。

 

<大学でのオンラインレッスン風景>

 

生演奏がメインのクラシック音楽家にとって、何をするにも制限が掛かる世の中ですが、今は辛抱して、音楽家としてできることに最善を尽くし、また皆様に音楽を届けられるそのときまで、更なる研修に努めていきたいと思います。

 

改めて、ロームミュージックファンデーション様の多大なるご支援に、心より感謝申し上げます。今後も臆することなく、様々なことにチャレンジしていき、音楽家として精進して参りたいと思います。

 

それでは皆様、またお会いするときまで。

Tschüß!!

 

木口雄人