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コロナ渦での活動(服部百音さん)9/28

奨学生レポート
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2020.11.10 ]

学校名:桐朋学園大学

ロームミュージックファンデーション奨学生の服部百音です。

今世界中が新型コロナウィルスという脅威にさらされており、演奏家にとっても出来る事が限られる世の中になりました。

私は3月にフランツリスト管弦楽団と計16公演のドイツツアーを行う予定があり、その頃イタリアに続き飛ぶ鳥を落とす勢いで感染者が増えている最中のドイツに行って参りました。

<ツアー1公演目ブダペストのコンサート会場にて>

 

私は自己防衛のため終始マスクを着用していましたが、ヨーロッパの方々はほとんどの方が日本人の意識とは異なりマスクをつけておらず、マスクをつけている人が保菌者という認識をされるため、やはり警戒の度合いが日本とは全く違い、自分の身は自分で守らないと明日は我が身かもしれないという緊張感が日々隣り合わせでありました。

毎日のようにメルケル首相の会見や発表があり、日々刻々と状況が悪化していく中、中止令が出されるまで演奏会は行われたためどうしても蜜は避けられず、私は人生で初めて本当の意味で今日のこの演奏会が私の人生で最後の演奏会になるかもしれない、とどこかで本気で覚悟を決めて演奏した経験でもありました。

でもそのような状況下でも聴きに来て下さっている方々は演奏中ずっと音楽にのって若い方もご高齢の方も心の底から音楽を楽しんでいらっしゃる事を今まで以上にはっきりと感じ、これだけの熱量を生み出す音楽の力は凄いなと、音楽をやっていて良かったと心から思いました。

 

<ツアー2公演目演奏後の様子>

 

<移動中に演奏会中止令が発出されその場で楽団員の方々とお別れをした時の様子>

 

また帰国後も延期となったコンサートをやって参りましたが、サントリーホールでの子供定期公演ではもともと1回公演だったものをお客様の数を半分にして2回公演にし、また初めて本番でマスクを着用して演奏しました。

最初若干の違和感はありながらも 今は命が最優先!!と思い、とても貴重な経験をさせて頂きました。

演奏が終わるとBRAVOと書かれた大きな紙を掲げて下さった方がいらっしゃいました。

 

<サントリーホール子供定期演奏会にてマスク着用で終演後>

 

このような中でも演奏会実現のために本当に沢山のサポートをして下さり、消毒など感染防止対策を徹底的に考えて下さり、そうした方々のお支えがあって実現した演奏会に危険を顧みず足を運んで下さるお客様がいらっしゃって今この瞬間が成り立っていると痛感し、言葉にならないほどの感謝の気持ちが込み上げました。

今までマスクもつけず沢山の人で賑わう事が出来たコンサート会場や、人が集まる事で成り立つ演奏会が当たり前のように出来ていた事がどれだけ恵まれていて有難い環境だったか、改めて実感しました。

 

一刻も早く事態が収束してまた気軽に演奏会に足を運んで生の音楽を楽しんで頂ける日が来る事を切に切に願いながら、今後とも自分にできる事に全力を尽くして精進して参りたいと思います。

 

<マエストロ下野竜也さんと>