将来へつなげるために(森田啓佑さん)7/31
森田 啓佑さん/ Mr. Keisuke Morita
(専攻楽器チェロ/cello)
[ 2020.09.28 ]
学校名:ザール音楽大学
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の森田啓佑です。
2019年のクリスマスシーズンを楽しんだ後、2020年1月2日から大学の授業が始まりました。
が、新型コロナウイルスのために状況は一変し、ドイツでは2月半ばから外出禁止となりました。
<久しぶりに大学へ行った時の様子>
20㎡しかない狭い部屋で過ごす日々が続き、外出できたのはスーパーで買い物する時だけでした。4月からはオンラインで大学の授業が始まりました。
対面でレッスンを再開できたのは5月半ば。久しぶりにチェロを背負って大学へ行き、広い教室でリヴィニウス先生にお会いできた時はとても嬉しかったです。
レッスンで先生にご指導いただく内容は昨年の「技術的なこと」から、今年は「自分だけの解釈による自分だけの音楽を表現するには」ということへと変化してきているように感じます。
先生は、ソリストとして仕事を任せられるだけの魅力を持つようにと強調なさいます。
私自身も自分らしい音楽、自分にしかできない演奏を求めて試行錯誤しております。
<大学でのレッスンの様子>
2020年6月、7月には、無観客の門下演奏会が大学のホールで開催され、ディティユーの「ザッハーの名による3つのストローフェ」とショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲1番」をそれぞれ演奏しました。
「ザッハーの名による3つのストローフェ」はSACHERの名前を音名に書き換えたモチーフを曲の色々なところに使っている難曲ですが、パズルを解いているような楽しさがあります。
チェロ協奏曲では運動神経と音楽性を同時に求められているようでもあり、ショスタコーヴィチの生きた社会情勢に思いをはせると気持ちも掻き立てられました。
また7月17日には無事に大学の試験期間を終えることができました。
新型コロナウイルスがいったん落ち着きつつある中、久しぶりに地元ザールブリュッケンにあるホールで練習するチャンスに恵まれました。
響きが広がり、とても心地よく感じられました。
音を遠くへ飛ばそうとする感覚を思い出したようでもありました。
早くお客様の前で弾きたいという気持ちも湧き上がってまいりました。
<地元のザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団・コングレスホールでの練習風景>
夏休みに予定されていた日本での演奏会は、残念ですが、すべて中止・延期となりました。
2020年12月27日のリサイタル(東京)が予定通りに開催されますと、1年4カ月ぶりの日本での演奏会となります。
音楽を奏でられる喜びにあふれたリサイタルになるように、また音楽で元気になれるように、プログラムも工夫してしっかりと準備を進めてまいります。
ご支援いただきました2年間で、音楽だけではなく、海外で自分自身と生活をコントロールすることも学ばせていただきました。
応援してくださる皆様のお陰でここまでくることができたと思います。本当にありがとうございました。
自分の中に得たものを将来につなげられるように、今後も勉強を続けてまいります。
感謝の気持ちを忘れずに邁進してまいりますので、コンクールや演奏会等で見かけましたら、これからも応援をどうぞよろしくお願い申し上げます。