奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

初年度を終えて(山田唯雄さん)2/12

山田 唯雄さん/Mr.Io YAMADA
(専攻楽器クラシックギター/classical Gt.)

[ 2020.06.19 ]

学校名:ウィーン国立音楽大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の山田唯雄です。
ヨーロッパ中でもウィーンは特に寒く、連日氷点下に達する寒い気候が続いています。

 

<地元紙に掲載して頂いた、リヒテンシュタインギターコンクール本選出場者の記事>


 
ウィーン国立音大での学生生活が始まって一年が経ちました。

慣れない言語環境には苦労することも多い一年でしたが、無事初年度を終えることができて安心しています。

ウィーンはとてもコンパクトな街、という点をとても気に入っています。

やはり音楽文化の非常に活発な街ですが、街自体は地下鉄に30分も乗れば端から端まで着いてしまうような大きさで、コンサートに足を運ぶ際など、開演20分前まで学校で練習して急いで会場に向かい、22時に終演したかと思えば30分後にはもう帰宅して自宅でその余韻に浸ることができる、なんとも幸せな環境だなと日々実感します。

さてこれまでを少し振り返りますと、昨年7月に、渡航して初めてリヒテンシュタインでの国際コンクールに参加いたしました。

3位という結果に非常に悔しい思いをしましたが、こちらのコンクールの雰囲気やレベルを知ることができる良い機会となり、また自分の演奏への向き合い方を見つめ直す契機のひとつとなりました。

 

<ウィーン国立音大 ギターフェスティバルの様子>

 
11月にはウィーン国立音大にてギターとハープによるフェスティバルが開催され、教授陣や学生による演奏会はもちろんのこと、オーストリア近隣から招聘された楽器製作家による製作に関するレクチャーなどが行われました。
留学して初めとても驚いたことなのですが、ヨーロッパには所謂日本のような楽器店がありません。基本的には直接製作家を訪問するというのがこちらでは一般的なようで、複数の選択肢を比べたい時にはこういったフェスティバルで展示されるものをまとめて試奏するのがほぼ唯一の機会になります。

現在、コンクールに適した新しい楽器を探しており、特に製作家による楽器紹介、並びにレクチャーは(おそらくは製作家を目指す人を対象としたものだったようですが)非常に興味深いものでした。
ギターは現在も新しい構造が次々と試されている段階にあり、必ずしも古いものほど良いというものでもありません。

優れた新作も多くあり、新作の場合まだ希少価値が付かないため比較的安価に手に入ります。

今はイタリアに2件、オーストリアに1件気になっている工房があるのですが、そういった楽器を直接注文できるところも、こちらに住んでいる利点だと思っています。

来年の目標は、新しい自分の要求に合った楽器を一本選ぶこと、6月、8月にそれぞれドイツ、オーストリアで開催されるコンクールに挑戦することです。

ようやく大抵の事に慣れてきましたが、ここで気を抜かずにこれからも精進して参りたいと思います。