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自然と音楽(香月麗さん)10/31

香月 麗さん/Ms. Urara Katsuki
(専攻楽器チェロ:cello)

[ 2020.03.10 ]

学校名:ローザンヌ高等音楽院シオン校

ロームミュージックファンデーション奨学生の香月麗です。

ご支援により叶った留学生活が始まって2ヶ月が経ちました。日頃の感謝を込めて、レポートにて近況報告させていただきます。

 

〈街が一望できるPhillipsクラスのレッスン室からの眺め〉

 

すべてが新しいことばかりの留学生活ですがシオンの町は穏やかに私を見守り、受け入れてくれている気がします。

そう感じるのは町のどこを歩いていても見える、街を囲んでいる山々の表情からでしょうか。

 

ブラインドを開け目の前にそびえ立つ山々を見上げて、大きく息を吸うことから1日が始まります。おごらず、でんと構えた純粋に美しいスイスの自然に度々感動し、作曲家たちが多くの名曲を生み出したこの地で学ぶことができることに幸せを感じています。

 

町の人々はみんなテラス席が好きで、メイン通りは特に休日家族や友達たちとご飯を食べる人々で賑わいます。

その横を歩くと私にも人々の温かみが伝わってきます。

 

Xavier Phillips氏のレッスンではいままでと少し違うイメージの曲が聴きたいと先生からいくつか曲を挙げられ、開拓の日々です。

大学院の室内楽の授業では新しい仲間とカルテットを組みました。

同世代の音楽家と時間をかけて音楽をつくっていくことが楽しく、相手をよく見聞きすることで自分と向き合う良い機会となっています。

 

他にもフランス語や、論文を書くための講義、即興の授業に出席しています。

特に即興の授業では今まで経験しなかった、楽譜のない自分の音を求められ戸惑い苦戦していますが、もっと楽器と自分の関係が近くなって自由になれるのではと思い、このチャンスを逃すまいと奮闘しています。

いろんな場面で新しいアイディアが私に降りかかってきています。

 

10月に一度帰国した際には東京で勉強していた時のご縁でお誘いいただいた演奏会にいくつか出演しました。

それらの演奏会の一つのオーケストラの演奏会では、プロのオーケストラの作法のいろはを教えていただき、私にとって大きな経験でした。オーケストラの中で無言で作られていくものに度々驚き、特にppの時にソロでは体験できないたくさんの音が集まった、音量はとてつもなく小さいのだけど、圧がある、たくさんの音が集まってひとつの方向に向かうのが見えて、それの音たちが胸にスーッと沁みてきたときはとても幸せな気持ちになりました。

新しい世界を知ることができた喜びがありました。

 

来月からは学校のオーケストラや門下のチェロアンサンブルコンサートの合わせが始まります。

年明けには日本で弦楽トリオのコンサート、3月には東京オペラシティのリサイタルホールでのリサイタル、4月にはスイス,マルティニでのリサイタルの機会をいただいているので、一つひとつ大切に、経験が音になるよう取り組みたいと思います。

 

〈マッターホルンにて、力強く、自然の神秘を感じる山々〉

 

スイスの地では新しいアイディアを新鮮な空気とともに取り入れることができ、日本に帰った時には今までは気づかなかった日本の素晴らしさ、ご縁のありがたさを感じます。

このようにたくさんの学ぶ機会を与えてくださっているロームミュージックファンデーションさまに心から感謝申し上げます。

これからも精進いたします。

ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。