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ベルリンでの生活(久末航さん)3/31

久末 航さん/ Mr.Wataru Hisasue
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2019.06.17 ]

学校名:ベルリン芸術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の久末航です。

ベルリン芸術大学大学院に入学して早2年が経とうとしている。新しい出会いや発見に満ちあふれたベルリンの街で、多種多様な文化を享受できる幸せを実感している。

<ニューイヤーコンサート in Ravensburg>

 

ベルリンという街を改めて見つめ直すと、その「懐の深さ」に驚かされる。

それは、様々な人種や言語がひしめき合いながら共存しているからだけではなく、街全体が未知の文化や新しい時代の流行をどんどん積極的に取り入れているからだ。

 

<ベルリン市内近所の通り>

 

例えば、街の一流ホールや劇場で、ある日は中東アラブの伝統音楽に照準を合わせたコンサートが催されたり、ある日は中国の現代音楽とヨーロッパ音楽の融合が試みられたりする。

またそうしたコンサートに足を運ぶ聴衆は、しばしばジーンズにTシャツといった軽装で、ただ純粋な好奇心と共に、一心に耳を傾けている。

新しいもの、異文化に対して全く肩に力を入れること無く、より身近に音楽と触れ合い、向き合っている。

こうした気構えの無い聴き手の姿勢こそが、ベルリンの文化の多様性を可能としている一つの要素なのだろう。
これは音楽に限ったことではなく、ベルリンの美術、文学、建築、演劇などすべての文化について言えることだと思う。

 

<指揮者ゲオルグ・マイス氏と>

 

2019年初めてのコンサートは、南ドイツの街・ラーヴェンスブルクでのニューイヤーコンサートだった。

新年をよろこぶ華やかなムードのなか、ゲオルグ・マイス氏の指揮、プフォルツハイム室内管弦楽団と共にモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏した。

室内管弦楽団は規模が小さめである分、一緒に弾いていると一体感がより強く感じられ、交響楽団とはまた違った魅力がある。

新年最初の本番をモーツァルトと共に迎えることができたことは幸せだった。

 

<雪のシュヴァルツヴァルト>

 

1月中旬、気分転換もかねて、雪の積もったシュヴァルツヴァルトでクロスカントリーを満喫した。

早朝からバスを乗り継ぎ、まだ人もまばらな雪山で思う存分滑ることができた。

途中、突如として目の前に開けた見渡す限りの雪景色は、新鮮な朝陽と相まって何とも言えぬような美しさだった。

 

今年はドイツやフィンランド、アイルランドでの演奏会や、日本での様々なプロジェクトを予定している。

一つひとつの出会いを楽しみに、気を引き締めて本番に臨んでいきたい。

また、ベルリンの街の恵む豊かな文化や人との繋がりから、できるだけ多くのものを吸収し、自分なりに消化して、自分の人としての成長に活かせていければと思う。そして、一人でも多くの聴き手の方の心に訴えかけるような音楽を目指し、貪欲に精進していきたい。

 

ベルリンでの音楽生活を温かく応援して下さるローム・ミュージック・ファンデーションさんのご支援には、心の底から感謝したい。

 

 


多くの経験に加え、プロジェクトを計画しているようで意欲的に活動されている様子が伝わりこれからが楽しみです。 引き続き頑張ってください。