中間レポート(藤原秀章さん)2/22
藤原 秀章さん/Mr.Hideaki Fujiwara
(専攻楽器チェロ/cello)
[ 2019.05.24 ]
学校名:ベルリン芸術大学大学院
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の藤原秀章です。
奨学生としてご支援をいただけるようになり、はやくも1年半が経とうとしています。
<室内楽のリハーサル>
一昨年の秋、初めて海外の講習会に参加できた事をはじめとし、それまで現実的ではなかった事や、諦めていた事に積極的に挑戦して勉強できるようになりました。
特に、日本だけでなく、クラシック音楽の本場であるヨーロッパで勉強する事に目が向くようになり、語学の勉強や受験を経て、昨年の秋からドイツのベルリン芸術大学で勉強を始めることができました。
つい2.3年前までは、いつか留学して勉強できたら良いな、くらいにしか考えていなかったので、短い間に留学が現実となり、今も少し不思議な感覚です。
ベルリン芸術大学でのレッスン自体は昨年の10月から始まったのですが、既に予定されていた日本での演奏会もあり、しばらくは日本での演奏活動とベルリンでのレッスンを行き来する生活となりました。
10月は、山崎伸子先生プロデュースのチェロアンサンブルにて、僕よりも若く、とても素晴らしいチェリストたちと、先生を含め6人でのコンサートで演奏させていただきました。
チェロアンサンブルは元々とても好きなのですが、どうしても他の室内楽やソロに比べ、演奏の質にこだわるというよりも、演奏者自身が楽しむイベントの要素が強くなってしまうジャンルのように感じていました。
しかし、今回、素晴らしい共演者たちと、山崎先生のご指導により、単にチェロだけでアンサンブルする楽しみ以上に、音楽的に質の高い演奏をお客さんに届ける、という事に取り組めたように感じ、非常に思い出深いコンサートとなりました。
また、1年半前からずっと心待ちにしていた、指揮の飯森範親先生、東京交響楽団の皆さまとの共演がありました。
<指揮の飯森先生と>
小学生の頃からいつか弾きたいと思っていたエルガーのチェロ協奏曲を演奏させていただき、とても幸せでした。
曲中のところどころで感情が溢れ出すような作品ですが、本番でオーケストラと音楽を共有できた瞬間は、弾いていて改めて作品に感動させられました。
12月には、ミュンヘンフィルハーモニーのソロコンサートマスターである、ローレンツ・ナストゥリカさんのヴァイオリンと共にソリストを務め、ブラームスの二重協奏曲を演奏する機会がありました。
非常に貴重な機会であると共に、どうなるか不安もありましたが、身体の一部かのように自由自在に奏でられる彼のヴァイオリンの音に圧倒され、特に、オーケストラの前に立った時にソリストがどうあるべきか、目の前で教えてもらった気がしました。
本番はなんとか食らいついて演奏し、とても多くのことを学びました。ヴィオラのシュトレーレさんなども加わった室内楽のコンサートでも共演させていただき、とても充実した時間でした。
<ローレンツさんとリハーサル>
ベルリンでは、石坂団十郎先生のレッスンにおいて、非常に緻密な音楽づくりと、そのためのテクニックをご指導いただき、楽器の扱いや音楽の引き出しが少しずつ増えているように感じるのと同時に、自分の演奏の甘さに気付かされています。
また、平日は毎日語学学校にも通い、ヨーロッパだけでなく、中東地域や北南米の国々の幅広い年代の生徒達と共にドイツ語の勉強をしています。
ドイツでの生活は、まだ分からない事だらけですが、必要以上のサービスや無理をせず、シンプルに働くドイツ人の姿は、とてもいいなと思うときもあれば、同じ機関やショップでも、担当する人によって回答ややり方が異なる場合があり、振り回されてもどかしい思いをさせられる事も珍しくありません。
そんな時は、これまで当たり前のように感じていた日本の責任感のある仕事や、生活の安心感が、特別なものだったと気付かされます。
今は早くドイツの文化や言語に慣れて、落ち着いて勉強に集中できるようになることが目標です。そして、この留学という貴重な時間を、より有意義なものにできたらと思います。