奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

最終レポート(吉澤淳さん)8/1

吉澤 淳さん/Ms.Makoto Yoshizawa
(専攻楽器ソプラノ/soprano)

[ 2018.09.21 ]

学校名:アントンブルックナー音楽大学大学院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の吉澤淳です。

2016年よりオーストリアへ渡欧してからあっという間に2年間が過ぎ、レポートも今回が最後となりました。

第1回レポートを書いていたころには、まだ言葉にも上手くなれることができず、友人たちに少し気をつかいながら過ごしていましたが、今では気兼ねなく言い合える大切な友人に囲まれて過ごしています。

<オペラ「アルチーナ」公演の様子>

 

夏に向けてだんだんと日が長くなるヨーロッパの初夏は、21時を過ぎてもまだ明るく、休みの日には友人たちとドナウ川沿いや湖畔に出かけ、のんびりと過ごすことができる嬉しい季節です。

振り返ってみると、奨学生期間が最終年となる2018年は、さらに実りある時間となりました。

まず大きな経験となったのが、リンツ州立劇場でのオペラ公演です。

ヘンデル作曲のオペラ「アルチーナ」にモルガーナ役で約10日間にわたり全4公演全てに出演させていただきました。

午前中と夜に稽古を行い、お昼はお休み!という劇場のリズムにすぐには慣れなかったものの、この長いお昼休みにリフレッシュをしたり、稽古を振り返って自分の中で整理をしたりと、だんだんと自分の身体の調子だけでなく、気持ちも整っていくのが分かりました。

この公演を通し、これまでにない程多くの方々から反響を頂くことができました。

プレミエ前には、舞台美術を担当して下さった方より、「何か新しくしようと試みる時や、調整をしたいと思った時には、舞台での君の姿をみているとアイディアが浮かぶんだ」、と声をかけていただき、私にとっても本当に励みになりました。

この公演を通し、来年2019年に公演予定の出演歌手1人で上演をするモノオペラ「アンネ・フランクの日記」にアンネ役として推薦していただき、参加させていただくこととなりました。

歌手が一人ということで、大きな不安はありますが、今からとても楽しみです!

 

<オペレッタコンサート終演後に共演者の友人たちと>

 

また歌劇とよばれるオペラの他に、今年は喜歌劇“オペレッタ”の演奏会にも3か所の地域にて参加いたしました。

オーストリアではこのオペレッタが特に頻繁に上演されます。

日本にはないワルツの独特のテンポ感や、音楽と相まって言葉巧みに陽気に、時に情熱的に歌いかけるオペレッタの世界では、この音楽や言葉を母国として持つ周りの友人たちの音楽が伸び伸びと、そして生き生きと輝いているのが感じられました。

またお客様の表情も、ぱっと明るくなり、よい意味でリラックスして一緒に音楽を楽しむ姿がとても印象的でした。

今回の経験を通し、このオペレッタの音楽や空気感を実際に感じ、共有することができ、この経験を通して自分の中での音楽の引き出しがひとつ増えた気がします。

 

<オープニングコンサートにて>

 

また今年はアメリカの作曲家レオナルド・バーンスタインの生誕100年の年ということで、リンツで生誕を祝うフェスティバルが行われました。
オープニングコンサート、そしてリーダーアーベントにそれぞれ参加をさせていただき、オープニングコンサートにはバーンスタインの娘さんであるジェイミー・バーンスタインさんがお越しくださいました!

終演後に興奮気味に立ち上がって拍手を送ってくださった姿に、父であるレオナルド、そして彼の音楽を心から愛しているんだと伝わってきました。

 

<オープニングコンサート終演後にジェイミーさんへ拍手を送る様子>

 

もう間もなくロームミュージックファンデーションの奨学生期間も終わろうとしています。
こうして多くの経験を踏みとどまることなく挑戦する力に変えて下さったのも、ひとえにロームミュージックファンデーションの皆様の温かいご支援のおかげです。

この2年間私を支えて下さったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

奨学生期間に得た経験や人々との出会いを大切に、これからもひたむきに音楽と向き合い、届けていけるよう、精進して参ります。

 


モノオペラ、チャンスを掴めてなによりです! ぜひ今後もたくさんの経験の中で新たな繋がりを作って活躍の場を拡げてください。