奨学生レポート RMFレポート インタビュー

レポート(日高志野さん)8/18

日高 志野さん/Ms. Shino Hidaka
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2018.09.7 ]

学校名:ロシア国立チャイコフスキー記念モスクワ音楽院

ロームミュージックファンデーション奨学生の日高志野です。
今年、ロシアで忘れがたい演奏の機会がありました。
曲目はチャイコフスキーのピアノトリオ「偉大な芸術家の思い出に」です。

 

共演したチェリストはモスクワ音楽院を卒業し、現在はロシア各地で積極的な演奏活動を行う堀江牧生さん。

ロームミュージックファンデーションの奨学生でもありました。

 

私は学生時代、目の前にあるソロの活動をこなすのに必死で、いつからか室内楽というものから少し距離を置いていました。

アンサンブルが嫌いというわけではなく、ある種の憧れが強すぎて、苦手意識が先行していました。(でもきっとほんとうに下手だったのだと思います。笑)

しかし、そんな時からチャイコフスキーのピアノトリオは大好きで、一緒にできる仲間もまだいないのに日夜CDを聞き続けました。

あの「ザ・ロシア」な旋律、各々の楽器がこれでもかと繰り返すパッセージ、2楽章の美しいテーマからはじまりフィナーレでの心揺さぶる激しさ…ぜひこの留学中にじっくりと向き合いたいと思っていた曲です。きっとこれを勉強した暁にはまたなにか、一つ見えるものがあるのではないかと…

そんな時「留学中に心通いあえる仲間とチャイコフスキーのトリオを演奏したい」という私の唐突なお願いに快くのってくれたのが堀江さんでした。

意外なことにトントン拍子で話は進み、モスクワで演奏機会を頂くことができました。
声をかけたヴァイオリニストは、モスクワ音楽院の名教授エドゥアルド・グラッチ氏のもとで研鑽を積むアリーナ。

ロシア人らしからぬ控えめな性格ながら、気遣いも細やかで、音が美しく華やかなヴァイオリニストです。

3人で積み重ねたトリオの練習は、回を重ねるごとに(おそらく)音楽の核心に迫るもので、私にとってはとても刺激的な時間でした。

初回の合わせのあとはチャイコフスキーにエネルギーを吸い取られたかのように疲れて眠ってしまったのをよく覚えています。

このトリオのピアノパートは協奏曲並み!?と思うほど難しく、しかしそれぞれ技術だけに固執するのではなく、この1時間弱ある壮大な作品を前に3人で物語を紡いでいくような、ち密で創造的な作業となりました。
我々が在籍しているモスクワ音楽院を創設したニコライ・ルービンシュタインの死に際して捧げられたこのトリオ。

私たちの思いも、当初は意識こそしていなかったものの、日に日に強くなっていったのではないかと思います。

 

 

<モスクワ音楽院>

 

予期せぬことに、1週間で3回もこのトリオを演奏することになりましたが、直前にあれよあれよと本番が入るのもロシア流。

毎回を誠心誠意、そして回を重ねるたびに3人で少しずつ成長しながら演奏しました。

 

<ヴァイオリンのアリーナ・クロエドヴァさん、チェロの堀江牧生さん、日高の3人で>

 

モスクワ音楽院に留学し4年目となりますが、学生として最後の一年となった今年度はアンサンブルの機会に多く恵まれました。
ヴァイオリン、チェロ、歌、中には音楽祭で自身のソロリサイタルとピアノ協奏曲を準備しながらヴァイオリンリサイタルの共演をするという荒業もありました。

しかしそのすべての経験はまるで、遠ざかっていた室内楽に最後向き合いなさい、と天から言われているようで、私にとってかけがえのない経験となりました。
今回共演してくれた2人に心から感謝しています。

堀江さんは今後日本で多くの演奏活動の機会を得ることと思いますし、またアリーナもぜひ、いつか日本で彼女の音色を聴いて頂けたらと強く願います。

 

室内楽の醍醐味は、色々な演奏家と共演して化学反応を起こすこと!
皆様、ぜひわたしと共演してください!笑

 

 


先日はスカラシップコンサートへのご出演お疲れさまでした! 元奨学生の堀江さんとも共演されたとのこと、ローム ミュージック フレンズの輪が広がっていてうれしい限りです。 ぜひ様々な出会いで室内楽が出来たらよいですね!