シンガポール国際ヴァイオリンコンクール(北川千紗さん)
北川 千紗さん/Ms. Chisa Kitagawa
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)
[ 2018.06.22 ]
学校名:東京藝術大学
ロームミュージックファンデーション奨学生の北川千紗です。
いつも多大なるご支援をいただきありがとうございます。
昨年末から今年始めまでは、学内オーケストラ演奏会や学外演奏会などに出演しながら、2018年1月末から2月の約2週間かけて行われた第2回シンガポール国際ヴァイオリンコンクールへ向けて準備をしました。
< 開会式が行われた国立シンガポール大学 Yong Siew Toh Conservatory of Music コンサートホールでのくじ引き >
学内3年生としての実技試験を終えたその日の夜、シンガポールに向けて出発しました。
到着日には早速開会式と演奏順を決めるくじ引きが行われました。
そこで私は(コンクールでは出来れば避けたい!?)「演奏順1番」をひいてしまいました。
ひいた瞬間、思わず笑って「1番ひいちゃいました」とスタッフさんに言って気を紛らわせてみますが、当然のことながら順番は変わりません。
スタッフのお姉さんは美しい微笑みを浮かべておられました。
本当に動揺していましたが、時間をかけ、「1番に演奏するけれど、それなりに審査員の先生方の心に残る演奏をしよう」と前向きに前向きに考え直しました。
思い起こせば、大学入試と同時進行で受けた第1回シンガポール国際ヴァイオリンコンクールから3年が経ちました。
しかし、あの憧れのホールで弾きたいという気持ちはこの3年間消えることはありませんでした。
< Victoria Hall でのファイナルラウンド >
そして3つのラウンドが約2週間弱かけて行われ、とうとう念願のグランドファイナルを向かえることができました。
< グランドファイナル会場 Esplanade Theaters On The Bay >
< 指揮 Joshua Tan , シンガポール交響楽団 : ライブ配信より>
グランドファイナルでは演奏を終えると30分ほどの休憩がとられ、引き続き表彰式が行われました。
全く結果を知らされず、会場で結果発表を待つ間は、普段よく喋る自分も気づけば静かになっていました。
各賞でコンテスタントの名前を呼ばれる中、私は聴衆賞と第2位をいただくことができました。
毎年講習で訪れていたシンガポールで、このような結果を残せたことは私の中での自信に繋がるきっかけとなりました。
グランドファイナルのステージでは本番直前に衣装を間違えて持参したことに気づき、取りに戻るという何とも言えないハプニングに見舞われるなど、実のところコンクール期間中些細なことで動揺する場面はたくさんありました。
しかしスタッフの学生さんや大学の方々が、ひとりひとりのコンテスタントに丁寧に気遣って「何か手伝えることはないか」と尋ねてくださいました。
< いつも明るい陽射しが差し込む 国立シンガポール大学音楽学部のアトリウム >
「こうして海外で何とかコミュニケーションを取りながら自分の演奏を支え助けていただけた経験が、これからの私の音楽人生の中で何度あることだろう。その度に助けていただくのだ。いつか私も人の助けになれる人間になりたい。」と思いました。
無我夢中で過ごしたシンガポールからの帰国後、3月には大学で組んでいたピアノトリオで学内演奏会に出演したり、室内楽でも充実した1年を過ごすことができました。
自身を試し、自分と闘う日々はこれからも続きます。
引き続きご支援のほど宜しくお願い致します。