イギリスでの最後の年(内匠慧さん)
内匠 慧さん/Mr. Kei Takumi
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2017.01.5 ]
学校名:英国王立音楽院修士課程
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の内匠 慧です。
何となく、本当の暑さを感じることのないような夏が過ぎ、とにかく嫌だったヨーロッパの暗い秋は、留学生活が最後になるかもしれない今年、初めて何か美しい印象を与えているような気がしています。
<8月、レスピーギのコンサート(リハーサル中)>
前回の奨学生レポートを提出して以降、2ヶ月ほどを愛知の実家で過ごした私は、ただただ練習に追われ、気がつく頃には蝉の声はもう聞こえなくなっていました。
在籍している大学は、授業の数が極端に少なく、とりわけ春学期を過ぎると試験の他には何もなく、3ヶ月近い夏休みが待っているという、いわば課外でどれだけの活動をするかを要求するかのようなカリキュラムになっているのです。
8月はレスピーギを特集したコンサート、またロームのスカラシップコンサートがありました。
スカラシップコンサートで新幹線を京都方面に乗るべきところを東京方面に乗ってしまいリハーサルを欠席した件では関係者の皆様に大変なご迷惑をおかけいたしました。
昨年の夏にも全く同様の失敗をしている故、3度目の失敗にはならないよう、今後京都方面に行く際は細心の注意を払いたいと考えております。
<9月、ロンドンでの引っ越し先。だったのだが住んでみたら咳が止まらず、またすぐ引っ越すことに。>
その後、9月上旬にはハンガリーでのリスト国際ピアノコンクールに参加していましたが、結果は伴いませんでした。
9月中旬に春日井で屋内アトリウムでのコンサートがあり、こちらは環境に適した音楽を、という狙いでコンサートホールでの演奏とは違った選曲・演奏スタイルを試行しつつのコンサートを行いました。
9月下旬の名古屋でのスクリャービンソナタ全曲演奏会が今年最も難しく、向こう見ずな企画でした。
少しでも楽しく聴けるコンサートになるよう、全力を尽くしましたが、その後、様々な面で疲れ切ってイギリスに戻りました。
<10月、イギリスの小さな教会でのコンサート>
ここ数年でリスト、ラフマニノフ、リゲティ、スクリャービンのいわゆる全曲演奏会のようなものを含め、様々なことに挑戦してきましたが、このようなものを「挑戦」で終わらず、「類を見ないような」素晴らしい演奏に結びつけなければいけないという認識を持ち、活動を続けていきたいと思います。
いつもロームミュージックファンデーションに厚くご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
自分にとっても納得のいく形で音楽院を卒業し、今後につなげられるよう努力して参ります。