奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

音楽を通して(黒川侑さん)

黒川 侑さん/Mr. Yu Kurokawa
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2016.11.28 ]

学校名:桐朋学園大学院大学

ロームミュージックファンデーション奨学生の黒川 侑です。
桐朋学園大学院大学に在籍しながら、ブリュッセルと行き来をしつつ勉強、また様々な場所で演奏活動を行っています。

この半年も、色々な機会で素晴らしい経験を積むことができました。

スペイン国立管弦楽団201607

このところで一番印象に残っている演奏会は7月、マドリッドのスペイン国立管弦楽団との共演です。

オーケストラから感じられる、信じられないような音の伸び、全員の音が合わさった時の素晴らしい音楽性…そのようなオーケストラとラロのスペイン交響曲(!) を演奏できたことは、僕にとって大きな喜びでした。

そこで演奏をしている時ほどバルセロナに行った際の素晴らしい日差し、スペイン語の印象、そこで食べた美味しいものを思い出したことは無かったです。

リハーサルもずっとスペイン語で行われていたのですが、まるで本当に色々な(特にご飯の)香りがしてくるようで、音でこんなに直接的なイメージを感じることもできるのかと、そういったこともとてもよい経験になりました。

また、たまたまその時期集中してラロ、プーランク、ラヴェルといったフランス系作曲家の曲の準備をしていたのですが、そういった経験を通して、改めてブラームス、メンデルスゾーン、ヴィヴァルディといった曲を練習し始めると、これほど曲から受ける印象に差があるものなのか、と改めて新鮮な驚きがありました。

自分の経験を通して、色々な可能性を発見できることは、いつもとても嬉しいことです。

 

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今海外と行き来してブリュッセルでのテロのような痛ましい事件に触れると、音楽がそういったことに対してどのように貢献することができるのかということについてどうしても考えてしまうのですが、しかし、今回のスペインのオーケストラとの共演も含めて、その後のメンデルスゾーンや、シューマンのコンチェルトを演奏した時に僕が感じることができた素晴らしい気持ちは、やはり人を傷つけるものと並行するものでは無いものだと感じます。

そういった気持ちを聴いてくださる方と少しでも多く一緒に感じることができる演奏を目指し、これからも研鑽を積んでいきたいと思います。
また今在学している学校は人数が少ない分、各科の教授との距離が近く、その分音楽のこと、そうでないことを含めて、話ができる機会がとても多いです。

特に作曲家の方から直接受けることができる授業は、これまで自分で考えもしなかったようなものの見方、考え方、どのような発想で曲を書くのかなど、自分の発想を新しい方向に向けていく為に、とてもよい勉強をしていると感じます。

これから年末、来年にむけてとても思い入れのあるブラームスのコンチェルトや、リサイタル、室内楽、無伴奏での演奏会など、挑戦していける機会が多くあることをとても嬉しく思っています。

一つ一つの経験を大事に、よい演奏をしていくことができればと思っています。

 

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音楽には音楽しかできないことがあると思いますし、ぜひそれを伝えられる音楽家になれるよう様々な経験をなさってください。これからの研鑽が素晴らしいものになりますよう祈っています!