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最終レポート(藤江扶紀さん)

藤江 扶紀さん/Ms.Fuki Fujie
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2014.10.28 ]

学校名:パリ国立高等音楽院

ロームミュージックファンデーション奨学生の藤江扶紀です。
昨年10月に始まったパリの留学生活も1年目を終えようとしています。この1年間は、私にとってかけがえの無い年となり、音楽的にも人間的にも大きく成長したと思える有意義な日々でした。

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私の留学生活は、思い描いていたそれとは程遠い状況で始まりました。

住居や銀行、滞在許可証など、当然のことながら、手続きが大変で、言葉や生活習慣の違いからスムーズに事が進まず、とても辛く感じました。
何もかもが不慣れで判らないところでも少しずつ順応していかなければ始まらない現実に、頭を抱えながらも、その中に音楽学習の時間を少しでも確保するべく、生活面でのストレスを最小限に抑えようと、自分なりに工夫しました。

 

そのような悪戦苦闘の毎日でも、レッスンに行けば、敬愛する先生の音が私の心の琴線を揺さぶり、感動を与えてくれるのです。

私はその時間だけ、面倒なことは全て忘れ、ここへ来てよかったーと、心底思うのでした。

そしてその幸せを噛み締め、原動力にして頑張ることができました。
4月には、私にとってヨーロッパ初舞台のコンチェルトがブルガリアでありました。

そして夏には、スコラカントルム音楽院を卒業し、その際には “très bien à l’unanimité et félicitations du jury”という最優秀の成績を頂く事ができました。

まだ暮らし始めて間もないフランスでも、こうして何らかの形で評価していただけることは、この上なく幸せなことです。

 

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今年9月からは、新しく、パリ国立高等音楽院 第二課程の学生として、勉強しています。
学校での授業やレッスン、練習からだけでなく、自分の持つ五感全てからの刺激を音楽の肥やしにしたいので、展示やコンサート、街歩きにも意欲的に出向くようにしています。

クラシックだけでなく、バレエやジャズ、そしてミュージカルなどにも足を運んでみました。

それらは、クラシックコンサートとはがらっと雰囲気の違うものでしたが、確立された世界観がとても興味深く、魅力的でした。
この間ひとりでぶらっと入ったオランジュリー美術館で、前に立った瞬間に身体の何か、魂のようなものをつかまれた感じがしてしばらく見入ってしまった絵画がありました。

初めて見る作品でしたが、大変魅惑的で感動を覚えると同時に、私もそんなふうに最初の音からぐいっと人の心を掴める音楽家になりたいと、強く思いました。

 

 

 


同じ芸術から感じ取るものは大きいのでしょうね。ぜひ様々な芸術に触れて藤江さんの音楽を作っていってください。