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小演奏旅行(沼沢淑音さん)

沼沢 淑音さん/Mr.Yoshito Numazawa
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2014.05.7 ]

学校名:チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院

ロームミュージックファンデーション奨学生の沼沢淑音です。
先日イタリアとスペインに演奏しに行ってきました。

turin2

イタリアはトリノでスペインはシグエンサという古都で演奏しました。
ミラノで出迎えてくれたのは同門の素晴らしい音楽家で仲の良いエマニュエルでした。
彼はその後トリノの演奏会にも来てくれました。
トリノのホールはその昔何百年前チェンバロが2階にあり、1回では皆が躍ったという歴史ある場所だそうです。

趣のある場所でとてもよく響き天井には天使が舞っていて、音の舞う美しい場所でした。
また来年演奏に呼んで下さると仰って頂いたので今度はヘンデルの組曲等も弾きたいと思いました。

お客さんがあたたかく喜んで頂けたようでとても嬉しかったです。

 

turin5 ホールの様子

 

その後エマニュエルがミラノで色々な場所に連れて行ってくれてとても充実した旅になりました。ミラノだけあってどこもかしこもお洒落で、町はずれの工事中の場所にさえそれを隠すため美しい囲いがされた上、つるが生やされていて、隅々まで気を配る視覚的センスに驚きました。
歴史的な建造物、教会がたくさんあり、それらを中心に視覚がもたらす気分や精神的な影響まで随分よく考えられていることは、イタリアでもその後のスペインでも強く感じました。

彼の家にもたくさん絵が飾ってありピアノで遊び弾きしたことは楽しい思い出です。
僕は寮の部屋等ごちゃごちゃで全く無頓着な上、掃除ほど嫌いなことはないのですが、前より少しましにしようかなと思いました。

 

スペインには夜中の一時に着いたのですが町自体全てが石からつくられていて初めて足を踏み入れた時、闇夜、石にしみいる不気味な静寂と、まだ夜をみぬ不思議な光と霊気に圧倒されました。
人口も5000人弱と少ないのですが深い歴史ある町でした。

町の様子をみたくて歩いていると至る所にコンサートのポスターが貼ってありアジア人は一人も見かけなかったこともあり、まるで指名手配されているような気分になりました。
散歩をしていると素晴らしく空気の良い場所で、まるで地平線の先の蟻までが見えるようで、馬がいたり、不思議な形の木がたくさん生えていて見ていて飽きることがありませんでした。
トリノもシグエンサでも自然からインスピレーションを貰って演奏できたように思います。
両方の町ともに人と自然がうまく共存しているように思えました。
演奏会後はどこか仕草がカザルスに似た調律師のおじさんが空港まで送ってくれて、分からないスペイン語をなんとか辞書を引き会話でもない会話を喋り、気がつくと空港に着きモスクワに帰っていました。
ロシアのキーロフという町では堀江牧生君ともデュオの演奏会をさせて頂きました。
生まれて初めてホールのお客さん全員がスタンディングオベーションをしてくれて嬉しいような気恥しいような複雑な気分になりました。
僕は室内楽では有望な素晴らしい共演者に恵まれているのでこれからも室内楽も楽しんでやりたいです。
これからモスクワでもたくさんやりたいこと、やらなければならないことが山ほどあるので精進してゆきたいと思います。

 

 


街そのものが様々なインスピレーションを与えてくれるという環境は素晴らしいですね。ぜひこれからもスタンディングオベーションがもらえるような素晴らしい音楽を奏でてください。