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基礎の見直しと室内楽(佐々木つくしさん)4/30

佐々木 つくしさん/Ms. Tsukushi Sasaki
(専攻楽器ヴァイオリン/violin)

[ 2022.06.3 ]

東京藝術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の佐々木つくしです。

 

この春、無事に大学4年生になりました。
大学生活の半分をコロナ禍で過ごすことになってしまいましたが、最近では以前のような活気ある日常を目にすることも多くなり、嬉しく思っております。
今回は、この一年で自分に最も大きな変化をもたらした「基礎の見直し」と「室内楽」について書きたいと思います。

 

<上野deクラシック 東京文化会館小ホールにて>

 

 

以前の私は、楽器の構え方、左手のフォーム、ヴィブラート、ボウイング… 数えきれないほどの悩みがありました。

どんなに好きな曲を弾いていても基礎面で未熟な部分がチラついてしまい、本番で音楽に没入できないことがほとんど。

このままではダメだと思い、コロナ禍を利用して基礎を徹底的に見直すことにしました。

まずはジムに通い、姿勢を改善し体幹を鍛え、肩当てなしでも楽器を支えられるようになりました。

また、左指の抑える位置や弓の持つ位置を変えるなど試行錯誤を繰り返した末、最近やっと自分の弾き方に納得がいくようになりました。

もちろんまだまだ改善の余地だらけですが、基礎を見直す過程で自分の体についてもよく知ることができたので、今後また悩むことがあっても自分で改善できるという自信がつきました。

 

<アーテム・カルテット リサイタル終演後>

 

 

2020年秋に結成したアーテム・カルテットでは、大学での授業に加え、霧島国際音楽祭、ヴィオラ・スペース、プロジェクトQに参加し、3月には初のリサイタルも開催しました。

弦楽四重奏はソロ以上に途方もない作業を繰り返していかねばならない分野だと思いますが、4人で課題を共有し、葛藤しながらも成長できているように思います。

 

一番の気づきは、イメージを言語化することの大切さです。

例えば暖かみをもって弾きたい場面で、春の朗らかな日差しをイメージするのと、冬に暖炉の前で感じる暖かさをイメージするのとでは、同じ「暖かい」でも音楽のニュアンスが変わってきます。

バランスや音程、呼吸、弓の使い方など、考えなければならないことは山ほどありますが、まずは4人でイメージを共有することが何よりも大切であると実感しました。

そして弦楽四重奏に限らず、オーケストラとコンチェルトを演奏するときであっても、一人でバッハを演奏するときであっても、同じようなことを心に留めておく必要があると思います。

 

<フレッシュ名曲コンサートにて、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏。指揮の大井剛史先生、東フィルのコンサートマスター近藤薫さんと>

 

 

ARKシンフォニエッタやクラシックキャラバンなどオーケストラのお仕事に参加させていただく機会もあり、初めての現場で色々な方の音楽や人柄に触れ、自分の将来を具体的にイメージするきっかけにもなりました。

大学4年生になったことで、周りの友達とは「卒業したらどうするの?」という会話が多くなりましたが、今自分のやりたい音楽を追求することに全力を注いでいきたいと思います。