2021年を振り返って(桑原志織さん)12/31
桑原 志織さん/Ms.Shiori Kuwahara
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2022.03.4 ]
学校名:ベルリン芸術大学
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の桑原 志織です。いつも大きなご支援を賜り深く感謝申し上げます。
私は現在ベルリン芸術大学の国家演奏家資格課程に在籍し、ベルリンを拠点に活動しております。
<ルービンシュタイン国際グランドファイナルの様子>
2021年はコロナワクチンの普及により、ヨーロッパでも対面レッスン、演奏会、コンクールや音楽祭などが再開し、海外で勉強できる幸せを改めて感じております。
今回のレポートでは、2021年の主な出来事について、いくつか振り返らせていただきます。
まず5月、イスラエルで開催されたルービンシュタイン国際ピアノマスターコンクールにて、第2位をいただきました。
昨年からの延期を経て、世界に先駆けて3月から予選が始まりました。
ファイナリストに選出されて赴いたイスラエルでは、10日間の隔離ののち、ピアノ五重奏曲とピアノ協奏曲を2曲、計3つのステージ審査に連日挑みました。
中でも、世界に冠たるイスラエル・フィルとのラフマニノフピアノ協奏曲3番の協演、コンクール後の入賞者ツアー中に起こった内紛によるミサイル攻撃、そのさなかエルサレムの劇場に出演したことなど、一生に一度あるかないかの激動の日々を過ごし、音楽がなぜこの世に存在するのか、なぜいつの時代も音楽に人生を捧げる人たちがいるのか、という芸術の根源に触れるような体験をいたしました。
今後自分がどうありたいかを深く考えるきっかけにもなりました。
<ドゥシニキ国際ショパン音楽祭のホール>
8月にはポーランドのドゥシニキ国際ショパン音楽祭にてリサイタルをさせていただきました。
世界で最も伝統ある音楽祭の一つで、ルービンシュタインコンクールでの演奏をきっかけに、音楽監督のパレチニ先生からお声がけいただきました。
毎年一流のピアニストの方々が出演しているので、お客様は耳の肥えた方ばかりと伺いました。
そのような晴れの舞台で、前半・後半ともスタンディングオベーションを頂くことができ、私にとって忘れ難いステージの一つとなりました。
11月には横浜市招待国際ピアノ演奏会に出演し、2015ショパンコンクール3位のケイト・リウさん、2018浜松国際1位のジャン・チャクムルさん、2019ルービンシュタイン2位のダニエル・チョバヌさんという、同世代の素晴らしいピアニスト達とご一緒させていただきました。
私はコロナ禍の嘆きと救いをイメージして35分のプログラムを演奏いたしました。
関係者の皆様による手厚いサポート、水を打ったような静寂のなか耳を傾けてくださったお客様…最高の環境で演奏させていただき、世界に誇るピアノの祭典に心から感謝いたしました。
<横浜市招待国際ピアノ演奏会>
写真撮影藤本史昭
写真提供横浜みなとみらいホール(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
そのほか、演奏のオファーをいただきながらも、その後のコロナ禍の状況で残念ながらキャンセルとなってしまったリサイタルも5か所程ありました。
しかしその分、一つ一つのステージに対する思い入れは一層強くなっていると感じます。
2022年も精一杯、国内外での勉強と活動に幅広く打ち込みながら、充実した日々を重ねてゆきたいと思います。