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博士一年目が始まりました。(向井響さん)3/6

向井 響さん/Mr.Hibiki MUKAI
(専攻楽器作曲/composition)

[ 2021.06.28 ]

学校名:ポルト大学大学院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の向井響です。

多大なるご支援のお陰で、こうして作曲と研究に打ち込むことが出来ること、心より感謝申し上げます。

 

<オンラインワークショップの様子>

 

2020年9月よりポルトガルに拠点を移し、ポルト大学大学院工学研究科での博士課程が始まりました。

パンデミック下でもPhD生のみ、オンラインではなく対面の授業や研究が行われ、様々な分野から集まった12人の博士学生とともに勉学に励んでいます。

前期には2本の論文を提出し、2件の研究発表を行い、12月には博士1年生が中心となり、ディジタル・メディアに関するオンラインワークショップを開催しました。

育った環境も考え方も異なる友人たちと、積極的に意見交換をしながら一つのイベントをオーガナイズすることは、私にとってとても貴重な経験となりました。

 

その後、作品の初演に立ち会うために日本に一時帰国しました。

 

12月初旬、東京コンサーツラボにて、私の関わるコンサートシリーズの「7人の作曲家展」を開催し、フルート、アンサンブル、エレクトロニクスのための「美少女革命: Σ」が初演されました。

私にとってパンデミック後に初めて演奏された作品で、作曲家として奏者の方々と一緒に音楽づくりの出来る幸せを感じました。

 

<初演メンバーと>

 

12月中旬、ユーフォニアムと吹奏楽のための「美少女革命:ユーフォニアム協奏曲」が三鷹市公会堂にて初演されました。

この状況下で大編成の吹奏楽作品を演奏できたこと、本当に奇跡だと思います。

コロナのためクローズドのコンサートでしたが、この作品のCDリリース、楽譜の出版が決定しています。

この日、私の作品の音が充満したコンサートホールで、“作曲をする意味“を再確認しました。

作品を委嘱して下さり、また神懸かり的なソロを演奏してくださいました、2017、18年ローム奨学生である佐藤采香さんをはじめ、指揮の上原宏先生、そして、この作品に一緒に挑戦してくれた若い才能豊かな桐朋学園ウィンズの皆様に心より感謝いたします。

 

<ソリストの佐藤采香さんと>

 

12月末ブルガリアのソフィアにて行われた、マリン・ゴレミノフ国際コンクールにて、マリン・ゴレミノフ作曲賞(第一位)を頂きました。

授賞式、記念コンサートは2021年に開催予定です。

 

長い長い冬が終わり、ポルトガルには今、春が訪れています。

ロックダウンが解かれ、街に活気が戻ってきました。博士課程での研究発表と新作の制作に追われとても忙しいですが、引き続き精進致します。