奨学生レポート RMFレポート ミュージックサロン インタビュー

おうち時間の活用(向井航さん)2/11

向井 航さん/Mr.Wataru MUKAI
(専攻楽器作曲/compsition)

[ 2021.05.17 ]

学校名:マンハイム音楽舞台芸術大学

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の向井航です。

演奏家及び作曲家にとっても厳しい冬が続いております。コロナにより企画されていた演奏会は全て延期、もしくは中止となり、ここドイツもロックダウン及び外出禁止令が出たため、家でじっと過ごす日々が続いています。

このような状態なので大学の全ての授業がオンラインに移行され、授業が行われています。

<シドニーコルベット教授とのレッスンの様子>

 

コロナ渦でも幸運なことに授業に支障は殆どありませんが、私が普段作曲をするときは、演奏会や美術館に訪れたり、作品のテーマとなる場所に実際足を運ぶことでアイディアを得ることが多いため、作曲の面で支障が出始めました。

このようなインプットができない以上、違う選択肢を見つけるしかありません。

そこで、自分の作曲に影響を与えた作曲家の作品を分析し、どう自作品に繋がっているのか、自分の作曲方法や論文にまとめることで、これまでの過去作品を省みることを行いました。

 

同じく2020、21年度ローム・ミュージック・ファンデーション奨学生で、音楽学の菅沼起一さんに論文を添削していただきながら、『解釈の多義性と、その応用』というテーマの基、100ページにわたり書き進めることができました。

様々な本を読みながら論文を執筆するプロセスから、自分の創作に再アクセス出来ることに気づけたことは、非常に大きな収穫となりました。

また、私が作曲するときに常に心がけているのは、楽器の専門家である奏者との密なコミュニケーションなのですが、今回論文を仕上げるのにあたり、その分野で有名な専門家の意見を求めることで、より柔軟で充実した内容に仕上げることが出来ました。

<自宅から、綺麗な空が見えます。>

 

数回の校正を重ねたのち、ドイツ語への翻訳に集中し、別の言語で作品を認識することで、自分の作品を違う視点から観察することが出来ました。

このような気づきの中で、次の作品テーマや、実践したい課題などが自然と再確認出来たことは非常に大きな収穫でした。

 

<この日は、自宅から少し車で行ったところにあるハイキングコースに。周りは全てワイン畑です。>

 

コロナによって様々な演奏会の機会が延期や中止になりました。

その中で音楽家としての自分を成長させるのは、困難です。一方で、目の前のことから少し離れ、違う視点から自分を見つめ直すことも非常に重要です。

今回、自分の時間が取れたおかげで、次の創作への活力を見出すことが出来ました。

今年はより一層自分を高めることが出来る一年になるよう、精進致します。

そして、このような状況下でも、活動に専念出来るように支援してくださる、ローム ミュージック ファンデーションの皆様に、多大なる感謝申し上げます。