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留学のはじまり(中橋祐紀さん)12/29

中橋 祐紀さん/Mr.Yuki Nakahashi
(専攻楽器作曲/compsition)

[ 2021.02.26 ]

学校名:パリ国立高等音楽院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の中橋祐紀です。
2020年秋よりパリ国立高等音楽院作曲科第一課程にて学んでいます。

パリに到着したのは8月下旬ごろで、当然ながら新型コロナウイルスの感染状況を気にかけながらの、不安の多い渡航となりました。

9~10月は、幸いにも様々な演奏会に足を運ぶことができました。

特に、IRCAMによる音楽祭〈マニフェスト〉のオープニング・コンサートは、今回パリに来て最初に訪れた演奏会だったこともあり印象的でした。

ミケル・ウルキーサ、ダニエル・ギジ、レベッカ・サンダースの3氏による声楽を含むアンサンブルのための作品は、それぞれ異なる作風でありながらも、制作・演奏の各水準において高い技術を感じさせるもので、パリの現代音楽シーンの豊かさを印象づけられました。

ところが周知のとおり、10月終わりごろよりフランスではロックダウンが布かれ、多くの演奏会が中止になったのはもちろん、音楽院の授業は個人レッスンを除きオンライン形式となりました。

このレポートを書いている12月現在は、ロックダウンこそ解除されているものの夜間外出禁止令が布かれており、また授業も変わらずオンラインとなっています。

困難な留学生活の始まりといえるかもしれません。

とはいえ、授業・レッスンを受けるなかでそれなりに得られているものもあると感じています。

 

例えば電子音楽に関しては、3人の先生から理論、歴史、実技を学んでおり、充実した学習環境が得られています。

1年次に受ける授業のおよそ半分が電子音楽関係であり、制作の手順、発想方法、美的感覚が、コンセルヴァトワールらしくきっちりと教えられます。

特に、ある先生に自分で作ってみた音を聴いていただいた際、一度聴いただけで音響処理の問題点をぴたりと言い当てられたときは驚きました。

電子音響分野で仕事をされてきた先生の並々でない経験と知識に圧倒され、また自身の美意識についても再考を迫られた、印象的な出来事でした。

 

このように学校内外で様々なことを経験しつつ、作品制作を進めています。

うまくいけば、来年(2021年)の2月と5月に作品発表の機会が得られる予定なのですが、まだまだ大変な状況が続きそうです。

また次回よいご報告ができることを願っています。

 

最後になりましたが、ロームミュージックファンデーション様の多大なるご支援に、改めて御礼申し上げます。

素晴らしい場所で勉強を続けられることへの感謝を胸に、引き続き作品を作ってまいります。