上半期を振り返って(秋山紗穂さん)10/31
秋山 紗穂さん/ Ms. Saho Akiyama
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2020.12.14 ]
学校名:東京藝術大学大学院
ロームミュージックファンデーション奨学生の秋山紗穂です。
歴代の奨学生には素晴らしい方々が名を連ねていらっしゃる中、奨学生に選んで頂いた時には、大変光栄に思うのと同時に身の引き締まる思いでした。多大なるご支援に心から感謝申し上げます。
私は現在、東京藝術大学大学院修士課程1年に在学しております。
3月に東京藝術大学を卒業し、4月から心新たに大学院で更に研鑽を積もうと意気込んでいましたが、新型コロナウイルスの影響で卒業式も入学式も中止、授業は全てオンラインとなりました。
今年は日本だけでなく、ヨーロッパなどでも様々な演奏会が予定されていました。
しかし、東京オペラシティコンサートホールでの小林研一郎氏指揮東京フィルハーモニー交響楽団の皆様との共演や、ウィーン国立音楽大学でのピアノリサイタルをはじめ、3月以降全ての演奏会が中止または延期となってしまいました。
また、国際コンクールにも積極的に参加していきたいと思いエントリーしていましたが、そちらも中止となってしまいました。
様々な自粛で、ひたすら自宅にて研鑽を積む日々でしたが、半年ぶりにようやく再開されたオーケストラのコンサートを聴きに行く機会がありました。
席の間隔を空けて、演奏者も全員マスクでしたが、チューニングの音を聴いただけで心が震え、音楽に包まれる感動に涙が止まりませんでした。
音楽は人の心を励まし、人に生きる希望と勇気を与え、言語や国境そして時代をも超えて、かけがえのない感動を分かち合うことの出来る奇跡だと、確信した瞬間でした。
そして色々と規制がありつつも、8月末には久しぶりにソロリサイタルをさせて頂くことが出来ました。
半年ぶりのステージで、緊張し過ぎてしまったらどうしよう…と心配していましたが、舞台に上がると緊張も忘れ、ホールの素晴らしい響きに包まれる幸せでいっぱいでした。
<マスクを着用してのリハーサル>
その後もソロリサイタルや様々な演奏会が無事予定通り実施され、9月10月は一週間に一度は本番があり、このような状況下で様々な対策を施して下さったホールの方々や関係者の方々、そしてご来場下さった全ての皆様に、感謝の気持ちでいっぱいでした。
<トーク付きコンサートにて>
10月3日には、広上淳一氏指揮日本フィルハーモニー交響楽団の皆様と、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏させて頂きました。
ベートーヴェン生誕250周年の記念すべきベートーヴェンイヤーにこのような演奏の機会を頂き、心からの感謝の気持ちと強い覚悟を持って臨みました。
広上先生の的確な指揮と温かいお人柄、そしてオーケストラの素晴らしい響きに包まれ、とても集中して演奏することができ、今の私にしか出来ない演奏を、精一杯これ以上ないくらい全身全霊で演奏させて頂きました。
<広上淳一先生、日本フィルハーモニー交響楽団の皆様と>
後期からは、大学院も少しずつ対面となり、ソロのピアノレッスン、チェロとのデュオのレッスン、ピアノカルテットでの室内楽のレッスン、フォルテピアノ(古楽器)のレッスンなどを通し、充実した日々を送っております。
<大学院修士リサイタル>
今後もソロリサイタルや室内楽のコンサートなど、ありがたいことに沢山の演奏の機会を頂いております。
(来年1月に御招待頂いていた、ハンガリーのリスト音楽院大ホールにおけるMAVブダペスト交響楽団とのピアノコンチェルトは、コロナの影響により、残念ながら延期となりました)
これからも、常に真摯に音楽と向きあい、作曲家の想いに少しでも寄り添って、その音楽の感動を一人でも多くの方と分かち合えるよう研鑽を積み、努力精進してまいります。