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後半を振り返って(瀧本実里さん)3/11

瀧本 実里さん/Ms. Misato Takimoto
(専攻楽器フルート/flute)

[ 2019.05.17 ]

学校名:東京音楽大学大学院

ロームミュージックファンデーション奨学生の、瀧本実里です。

4月からの奨学生として過ごした期間が、早いものでもう終わろうとしています。

奨学生として過ごした期間の後半に体験したことついて少し書かせていただこうと思います。

 

<モスクワ音楽院での演奏会。共演者、先生方と共に>

 

11月、新潟にて師匠の工藤重典先生と演奏会をしてまいりました。

ピアニストは何度か共演させていただいている、長崎麻里香さんです。

フルート2本とピアノではたくさんの曲が書かれておりますが、今回はバッハからクーラウなど、幅広い時代の曲を演奏しました。
尊敬する先生との演奏会は本当にあっという間でしたが、とても楽しく、また勉強になることが沢山感じられたとても濃い時間だったと思います。
お客さまの反応も嬉しいことにとても良く、会場にいる全員がわくわくする瞬間の沢山ある良い演奏会になりました。
ピアノとフルートデュオの組み合わせはとてもバランスがよく、フルート3度での動きはなんともいえない美しさがあります。
素晴らしい曲がまだまだあるので、これからも機会を見つけたりつくったりして演奏していきたいと思っております。

12月にはつくばフルートコンクール2018に挑戦してまいりました。
結果は2位という少し悔しさが残るものになってしまいましたが、このコンクールの本選はオーケストラとのモーツァルトの協奏曲で、オーケストラとの共演が初めての私はリハーサルの前にとてもドキドキしたのを覚えております。
指揮者なしでの演奏でしたが、コンサートマスターの方が一挙手一投足を見逃さないというくらいこちらに意識を向けてくださっているのが分かり、本番はリハーサルの時よりも良い演奏ができたと思います。
この貴重な経験を励みにこれから先もコンクールに挑戦していきたいと思っております。

このコンクールの2日後、私は飛行機に乗って、ロシアに向かっておりました。
東京音楽大学との交流事業で、ロシアのモスクワ音楽院を訪れたのです。

ラフマニノフホールで、東京音楽大学の作曲家の先生方によって作曲された曲を演奏する、「日本のこころ、今」というタイトルの演奏会をさせていただき、2曲出演しました。

 

<モスクワのクリスマスマーケット。イルミネーションがとても綺麗でした>

 
もともと現代曲はあまり触れる回数が少なかったので、特殊奏法を取り入れた曲の室内楽を演奏する機会として、よい経験ができました。

モスクワの観客の皆様はとてもあたたかく 演奏後は満面の笑顔で拍手をくださるので、私達演奏者側もそれを見て嬉しい気持ちになるほどでした。

ロシア人の作曲家の曲は、フルートソロのレパートリーとしては曲数が少ないので少し馴染みの薄い国ではありますが、プロコフィエフやチャイコフスキーなどたくさんの偉大な作曲家を生み出した国ですので、その地に降り立てたことはこれからの演奏活動に深く影響を与えることと思います。

12月でしたので、外に少しいるだけで身体の芯から冷える感覚は初めてのものでした。
地図をみるだけでも広いロシアですが、土地の使い方が豪快で、しかしクリスマスの時期でもあったからか電灯などは細やかに飾り付けがしてあって、ロシア国民性を垣間見ることができた気がします。

 

<東京音大の記念演奏会。フルートパートの皆様と>

 
そして年が明けて1月には、東京音大の111周年記念の演奏会に出演させていただきました。

この演奏会は、第一線で活躍されている先生方と学生が一緒に演奏するというとても稀な演奏会でした。

私は「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」にセカンドフルートとして参加し、NHK交響楽団首席奏者の甲斐先生と共演させていただきました。
プロの奏者の方々がオーケストラの中でどう演奏しているのかというのを間近で勉強できる、とても貴重な機会でしたので、リハーサルから本番まで自分なりに毎日奮闘しました。

このように後期もたくさんの機会をいただけたので、色々なものが吸収できたと思います。
4月から振り返ってみると、海外を訪れる機会をいただいて私の中の世界がとても広くなったと思います。
百聞は一見に如かずとことわざにもありますが、短期間でも実際に行って色々な場所や人、食べ物や空気に触れることは自分の中の引き出しや視野として広がり、これからの音楽の肥やしになってゆくと思います。

初めて海外のコンクールを挑戦してみようと、香港でのコンクールも目前に控えておりますので、これまでの経験を活かしながら挑戦して参りたいと思います。

これからもご縁を大事にしながら、聴いている人の心に届くような音楽ができるような音楽家になれるように、より一層勉強していきたいと思います
ご支援、本当にありがとうございました。


たくさんの経験をされているようで何よりです。百聞は一見に如かずの言葉の通り、これからも多くの経験を積んでいってください。