氷点下のザルツブルクから(八木瑛子さん)1/30
八木 瑛子さん/Ms. Eiko Yagi
(専攻楽器フルート/flute)
[ 2019.04.23 ]
学校名:ザルツブルク・モーツァルテウム大学
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の八木瑛子です。
いつも多大なるご支援をしていただきありがとうございます。心から感謝して おります。
私は2016年の10月からザルツブルク・モーツァルテウム大学にて、ミュ ンヘン交響楽団の首席奏者、ミヒャエル・マルティン・コフラー氏のクラスで 勉強しております。
<クラスコンサート後に講評を聞いている様子>
冬のザルツブルクは薄暗くてとても寒さが厳しく、雪の積もった街並みは美し いものの、3年目といえど最高気温が氷点下を下回る日々の生活にはなかなか 慣れません。
新緑が美しくて鳥の鳴き声が響き渡る、透き通った春の青空がとても恋しいです。
師事しているコフラー先生は音楽的にはもちろん人間的にもユーモアとバイタ リティ溢れている方で、会う時とお別れの時は必ずハグと頬を合わせてくださ り、先生の魅力的な音色と音楽と沢山の冗談を交えた2時間弱のレッスンの後 は、まるで魔法にかけられたように心も音楽もポジティブになります。
月に1度は大学内のホールでクラスコンサートがあり、他の楽器の生徒や音楽好きな一般のお客さんも沢山聴きにきます。
演奏会のような雰囲気で吹ける機会が毎月あるのは、モチベーションを保つことはもちろん、他の優秀なクラス メイトの演奏を聴くことができるので沢山刺激を受けています。
演奏中は先生 がとても細かい字で無数のメモを書き留めており、クラスコンサートの後には 必ず講評会があります。
<レッスンを中断して、降り始めた雪を鑑賞する様子>
モーツァルトが生まれ住んだことで有名なザルツブルクはとても豊かな自然に 囲まれたとても美しい街で、「モーツァルトもこの景色を見ていたのかな」と 思うと、いつも心が踊ります。
今このレポートを書いている時期(1月末)は1月27日のモーツァルトの誕 生日を記念してMozartWoche(モーツァルト週間)があり、ウィーンフィルや 世界中で活躍している多くのソリストが招かれて沢山の演奏会が催されます。
先日はピアノのアンドレアス・シフ氏の音色を間近で聴いたり、ヴァイオリン 奏者のジャニーヌ・ヤンセン氏を始めとする弦楽室内楽に魅了されてきました。
今日は知り合いの方に声をかけていただき、ピアニストの内田光子氏のマ ーラーチェンバーオーケストラ伴奏の演奏会のリハーサルをこっそり聴いてき て、今もまだ興奮しています。
<雪化粧のホーエンザルツブルク城の様子>
昨年の初秋に中国・広州で広州国際フルートコンクール(旧 ニコレ国際フル ートコンクール)があり、参加してきました。
結果は3次予選敗退でしたが、新曲を含む多くの曲を準備した期間はとても充 実していて、自分の強みと弱点を改めて実感することができました。 中国の文化にも触れることができ、とても興味深い時間を過ごすことができま した。
<中国の高層ビル群の様子>
昨年末にはユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団のオーディションに 合格することができ、2月初旬の室内楽プロジェクトでドイツのフランクフル トにて演奏させていただくことになりました。
同年代の優れた奏者と共に演奏できることがとても楽しみです。
日本では巡り会えない経験やチャンスに囲まれていますが、自分の課題にじっ くり向き合いつつ、1つ1つの機会を大事にし、精進してまいります。