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ミュンヘンでの生活(竹山愛さん)12/31

竹山 愛さん/Ms.Ai Takeyama
(専攻楽器フルート/flute)

[ 2019.03.15 ]

学校名:ミュンヘン音楽・演劇大学

ロームミュージックファンデーション奨学生の竹山愛です

ロームミュージックファンデーション様にご支援頂きミュンヘンに渡り早くも 4ヶ月が経ちました。

<R,シュトラウスの母の実家であるビール醸造所、ハッカープショールのオクトーバーフェストテントにて>

 

9月のまだ暖かい季節にこの街へやって来て世界最大のビ ール祭『オクトーバーフェスト』や美しいアドヴェントの季節には市内の個性 豊かなクリスマスマーケットへ出掛け、人生で初めてとなるヨーロッパで過ご すクリスマス、年越しを経験しあっという間の4ヶ月でありながらもとても充実した時間を過ごさせていただきました。

 

<曇り空が続く冬のミュンヘン、国立歌劇場前にて>

 

文化と芸術の共栄するミュンヘンでは多くの素晴らしいオーケストラや歌劇場 がありどの公演に行くのかを計画するだけでも大変です。

4ヶ月の間にミュンヘン以外の街へも出掛けては演奏会にも足を運び、忘れら れない時間を沢山過ごしました。

 

<2020年より改装工事が始まるガスタイク内のフィルハーモニーにて>

 

現在私はバイエルン放送交響楽団の首席奏者フィリップ・ブークリー教授のク ラスで学んでいます。

世界屈指のオーケストラで演奏されている先生の元で改めて学生に戻り学べるというのは本当に贅沢なことです。

個人レッスンは必ず 二重奏の初見大会から始まります。

バロックやクラシック作品から新しい作品 までその難易度は様々ですが、先生の初見能力と楽譜から音楽を読み取る早 さ、絶対に崩れないテクニックに毎回脱帽しています。

音楽面でのアイディア は勿論の事ですが、超多忙のオーケストラ奏者としての生活スタイルも私の興味の対象であったりします。

 

<門下生とブークリー先生を囲んで>

 

渡欧4ヶ月目の私にとっての毎日の課題はやはり言語やコミュニケーション で、しばし「話題」の少なさや言葉数の少なさに悩まされています。

しかし沢 山の異なる文化からやってきている新しい友人同士だからこそ音楽の話は勿 論、それ以外の話、文化、政治、宗教の話などもしてみたいと思うので積極的 に話題にあげられるようになる事が目標です。

またそれは外国語を話す以前の 問題でもあるので、様々なことに関心と疑問を持つこと、沢山の旅をする事、良い環境にいられる今だからこそ出来る視野の広げ方を考えながら前向きに取 り組みたいと思います。

 

ミュンヘンで生活していて気づいた事は、街を歩いていても静かであるという 事です。

東京では気付けばお店のBGMが外まで漏れていたり、信号機の音、駅 の発着音、誰かのイヤホンからの流れてくる音が混ざりに混ざって騒々しい 為、私も常にイヤホンをして音楽を聴いていました。

しかしミュンヘンの街中 を歩いていて聴こえてくる音楽といえば、路上パフォーマーが奏でる音楽と教会の鐘の音くらいなので、いつの間にか自分のイヤホンから流れてくる音楽が 一番騒々しく感じるようになり、今は音楽を聴きながら歩くことは殆ど無くな りました。

これは四六時中イヤホンをつけて生活していた私にとって大きな変化で、疲れていない耳と心で聴く音楽はこれまでとはまた違う景色を見せてく れる事に気付き、自然と生活にもメリハリをつけられて、以前よりも心穏やか に生活できる時間が多くなりました。

演奏においても自然と自分の欲求や内側 の声を聞けていると感じています。

些細な事ではありますが私にとっては大き な発見です。

 

3月には所属する東京シティフィルの海外公演でロシアに行ってきます。

まだ 渡欧して間もないですが、これまで経験してきた事を少しでも音に変えてオー ケストラに貢献できる様に頑張りたいと思います。

 

 


ミュンヘンは音楽に集中できる環境ということですね。雑音なく真摯に音楽に向き合って、今後の糧にしてください。