この一年を振り返って(黒田哲平さん)6/11
黒田 哲平さん/Mr. Teppei Kuroda
(専攻楽器ピアノ/piano)
[ 2018.07.26 ]
学校名:桐朋学園大学
ローム ミュージック ファンデーション奨学生の黒田哲平です。
日頃より御支援に心から感謝しております。奨学生として採用していただいてからの一年間は、大変充実しており、あっという間だと感じております。
ここで、その間にあった出来事や、考えたことをお伝えしたいと思います。
<ジョイントリサイタルの様子>
この一年間は、海外の方との交流の機会がとても増えたことが印象的でした。
中間レポートでもご報告させていただきましたが、昨年夏にはヨーロッパでセミナーやコンクールに参加し、日本とは全く異なる空気を満喫出来ました。
また、今年度桐朋学園大学に、ドイツから留学に来たイタリア人と、同じ門下生として勉強出来たことは嬉しかったです。
先日は彼とジョイントリサイタルも行い、貴重な経験となりました。
さらに五月には、ロームミュージックファンデーション主催の、『京都・国際音楽学生フェスティバル 2018』に参加させていただき、世界中から集まった、音楽を志す人々と楽しいひと時を過ごしました。
そこでもロームの方々に大変お世話になりました。ありがとうございました。
こうして様々な国の方と知り合い、言葉について学んだのはもちろんですが、演奏スタイルや音楽観の違い、果ては多様な人生観などにも触れることになり、益々留学への意欲を掻き立てられました。
そして、海外の文化に魅力を感じると同時に、日本人であることに誇りを持つようにもなりました。
また、おかげ様で今年もソロリサイタルや室内楽の演奏会の機会を沢山いただき、多くのことを学びました。
そうした活動を通して、特に、海外で活躍することを視野に入れれば入れるほど、自分がどのように音楽に向き合っていくべきか、真剣に考えるようになりました。
日本人として西洋の音楽に携わっていくということはどういうことか、作曲家という他人の書いたものを再現する演奏家はどういう存在であるべきか、今の時代にどのような音楽家が求められているか、作曲家と演奏家の望ましい関係はどんなものか、演奏芸術とはそもそも成り立つのか…
自ら演奏したり、ピアニストの演奏会に足を運ぶうちに、こうした問題が自分にとって無視できないものになってきました。
今の自分なりの答えが見つかっている問いも、まだ答えが見つかっていない問いもあります。
一生向き合っていくべき問題もあると思います。
しかし、こうした問題意識を持てるのは、大好きな音楽に打ち込めるからで、そのこと自体が、とても幸せなことだと日々感じています。
今年もまたヨーロッパへ行くことになり、どんな経験が積めるのか、今からとても楽しみです。
実り多い一年になるよう、益々精進していきたいと思います。
一年間、御支援をくださり本当にありがとうございました。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。