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コロナ禍の日々において(佐藤元洋さん)11/30

佐藤 元洋さん/Mr. Motohiro Sato
(専攻楽器ピアノ/piano)

[ 2021.01.19 ]

学校名:ベルリン芸術大学大学院

ローム ミュージック ファンデーション奨学生の佐藤元洋です。

日頃より多大なお支援を賜り、こうして音楽とともに、そして何より健康に日々を生きられていることに改めて感謝をし、ここに近況をご報告いたします。

 

<コロナ禍のレッスン室、ビョルン・レーマン教授と。ピアノは距離を開け、換気もしっかりと。>

 

2020年は、地球上のあらゆる場所で、あらゆる人が、常日頃とは異なる苦しい状況を経験したものと思います。

それは私たち音楽家も例外では無く、ステージに立つ機会も多く失うこととなりました。

私は2月末に演奏会のため日本へ帰国していましたが、日本も徐々に状況が悪化し、それらは残念ながら中止になりました。

3月にはヨーロッパも感染拡大が酷くなり、ドイツもロックダウン。戻るに戻れない状況となってしまいました。

日本にいる間は、ベルリンとのオンラインレッスンを受講しながら、新たなレパートリーに取り組み、音楽について様々考える日々でした。

ピアノに向かいつつ、自分に出来ることが限られている中で、何よりも自分が音楽にどれだけ支えられてきたのか、ということを改めて実感しました。

学校が再開され漸くベルリンに戻ったのが5月末、久々の対面でのレッスンでは、先生の奏でる音に触れ(自分以外の音を耳にすることが本当に久しぶりだったのです)、繊細なニュアンスを感じながら、学ぶことのできる幸せを感じました。

8月6日には、ベルリンの在独日本大使館において平和のためのコンサートに出演、およそ半年ぶりにステージに立つことができました。今年は規模を縮小しての開催でしたが、久しぶりに感じた本番の緊張感やあたたかな空気に触れ、自分ひとりだけではなく多くの方と同じ空間で、音楽やそこから生まれる感情を共有できることの歓びを改めて感じました。

また、10月には聴き手として、演奏会に足を運ぶことも叶いました。残念ながら現在(12月)は再びの感染拡大で、ドイツでは演奏会が開かれない状況です。どちらの立場としても、コンサートホールに戻ることのできる日を心待ちにしています。

 

<10月、ベルリンでコンサートを聴く。観客もマスク姿。(立っているのはスタッフ)>

このような状況ではありますが、演奏のオンライン配信等、予定されているプロジェクトもあります。

できる活動を、積極的に行いたいと思います。

 

<日本にて配信用ビデオの収録。>

 

また、2020年に日本やヨーロッパにおいて予定されていた演奏会は、有り難いことに中止ではなく延期として、2021年に開催となったものも多くあります。

この貴重な1年でより成長してステージに立てるよう、引き続き勉強を重ねてまいります。

2021年に向け、自分も含め皆さまの健康と、そして演奏会でお会いできることを心から願い、楽しみにしています。

 

<普段は観光客で賑わうブランデンブルク門も、今は静かに佇んでいる。>