吉田 誠 Makoto Yoshida (クラリネット)

<出演にあたってのコメント>
今年も大好きなローム ミュージック フェスティバルに再び出演させていただける事を大変光栄に思っております。 モーツァルトの最高傑作のひとつであるこの協奏曲は、クラリネットを学び続ける者として、生涯に渡って対峙する作品であり、音楽家としての成長に時に優しく、時に厳しく寄り添ってくれる作品と言えます。この様な難しい時でありながら、留学時代から今現在まで積み重ねきた研究成果を皆様に聴いて頂ける事は本当にこれ以上ない幸せです。ローム ミュージック ファンデーション様にはパリ国立高等音楽院とジュネーヴ国立高等音楽院でクラリネットの研鑽を積むための留学に加え、音楽セミナー指揮クラスで小澤征爾先生と湯浅勇治先生のもとで指揮を学ばせていただく大変貴重な機会を頂きました。専門のクラリネットだけでなく指揮も学ばせていただいた事により、大作曲家のあらゆる年代の作品を探究する事が出来、この曲を演奏する度に指揮の経験がオーケストラとのアンサンブル等に大きな影響を与えている事を実感しています。今回は、モーツァルトがこの協奏曲で楽器指定したと言われている「バセットクラリネット」で演奏させていただきます。A管のクラリネットよりも少し長く、より多くの低音を奏でる事の出来るバセットクラリネットでこの名曲を演奏すると、オーケストラとより親密に絡み合い、曲の構造がより立体的に見え、まるでモーツァルトのオペラを聴いている様な喜びと悲しみ、そして祈りが聴こえるはずです。慣れ親しみ聴かれて来たこのクラリネット協奏曲がいつもと一味違う音楽になる事を目指し、素晴らしい新日本フィルハーモニー交響楽団の皆さんと角田鋼亮さんのバトンのもと、大好きな街、京都で演奏させて頂ける事が楽しみでなりません!

©lien Tranchet