神谷 未穂 Miho Kamiya (ヴァイオリン)

<出演にあたってのコメント>
ローム ミュージック ファンデーションのスカラシップを頂き学んだ、パリ国立高等音楽院のカントロフ先生のクラスは、クラス担当ピア二ストが上田晴子さんという贅沢さをはじめ、素晴らしい経験が沢山ありました。特に思い出に残っているのが、在籍していた第三課程(大学院・ソリストクラスの様なもの)と呼ばれるクラスの修了コンサートでした。

ドイツ・ハノーファー、フランス・パリと二つの国で留学しましたが、言わなくてもわかる、オブラートに包む言い方、というところはどちらの国でもほとんどなく、初めて留学したハノーファー国立演劇音楽大学では、年がら年中行われる、アルテンブルガー先生クラスの「クラッセンフォアシュピール」というクラス発表会の後は、みんなでイタリアンレストランでグラッパを飲みながら、自分の演奏レベルに関係なく、生徒同士で感想を言いあったり、私はそうは思わない、という否定的なことも皆が言いあうことにビックリしたものです。 また先生にも意見を言う時も度々あり、それまで自分が学んできた日本との違いを大いに感じました。

このパリの修了コンサート(卒試がなく、これで卒業となるので、大切なコンサートでした)では同じく第三課程で学ぶ学生で10人という編成の大きな室内楽(ラヴェルのステファヌ・マラルメの詩による3つの歌曲を演奏。ヴァイオリンの瀬崎明日香さん、ソプラノの谷村由美子さんもメンバーに)を組んだのですが、ここでもそれぞれが意見、アイディアをどんどん言いあうのがとても面白く、同じ学生ながら、すごい!!こんなことまで知っているのか、と尊敬したり感動したり(たまには誰かがムッとしたりする場面もありましたが)、大変充実したリハとなり、修了コンサートを無事終えることができました。

今回の室内楽メンバーには従姉でデュオプリマで長年一緒に弾いているヴァイオリニストの礒絵里子はじめ、ヨーロッパで学んできた方々ばかり。素晴らしいご活躍のメンバーで、本番はもちろんのこと、リハでどんな新しい発見、刺激があるのか、今からとても楽しみです。

コロナ禍で、2020年2月末から多くのコンサートが中止となり、寂しく不安な日々を過ごしました。そんななか、ロームのこのコンサートがいち早く開催日を決めてくださったのは、とても嬉しく、前向きな気持ちになる事ができました。関係者の皆様、このコンサートにいらしてくださるお客様に感謝申し上げます。

©Atsushi Yokota