河村 尚子 Hisako Kawamura (ピアノ)

<公演後コメント>
初めて出演させていただいたローム ミュージック フェスティバル。音響が乾いている劇場・ホールも多いなか、ロームシアターのサウスホールは丁度良い音響にコントロールされており、大変心地よく演奏させていただきました。また、大勢の音楽仲間と再会しての談話の場ともなり、とても素敵な思い出がつくれました。さまざまな道を辿ってきた音楽家達が、“ローム ミュージック ファンデーション”というひとつの同じ機関から奨学援助をいただいたことを共通項に、今回のように音楽祭で再会し、それぞれの人生経験を交換できるということが素晴らしいと思いました。これからも音楽家を目指す若者たちへのサポートを、どうぞよろしくお願いいたします!

<出演にあたってのコメント>
今回、初めてローム ミュージック フェスティバルに出演させていただけると聞き、大きな喜びが私の中を駆けめぐりました。
ローム ミュージック ファンデーションの奨学生として、経済的な心配をせず、心置きなく学生生活を送ることができたことを、今も変わらず大変感謝しています。そして、どうしてもコスト削減の対象とされがちな文化・音楽に多大な貢献をしておられるローム株式会社に、この分野で活動をする1人として、心から敬意を表します。これからも音楽家を志す沢山の若者たちを支援していただきたいと願っております。
そんな初出演の舞台となりますが、大変チャレンジングなプログラムを披露させていただきます。数年前からベートーヴェンの後期のソナタに取り組み始めていますが、今回皆様に聴いていただくのは、前半に、標題のない作品番号90(どこかシューベルトに似た第2楽章が、個人的に気に入っている曲です)と「告別」、そして後半には、リストのロ短調ソナタやラフマニノフのピアノ協奏曲第3番のように学習する音符が非常に多く、音楽が大変複雑な作品であるという点で、ピアニストにとってのマイルストーンともいえる大作「ハンマークラヴィーア」です。演奏する私だけでなく、聴いていただく皆様も、ほんの少し予習してコンサートに足を運んでいただくと、聴覚を失ったベートーヴェンの頭の中で巡っている、かなり狂った音楽を一緒に追っていただけるかと思います!(笑)

©Marco Borggreve