北爪 裕道 Hiromichi Kitazume (作曲)

<公演後コメント>
今回のフェスティバルに参加させていただいたことは、私にとって様々な面で実り豊かな機会となりました。まず、編曲作業にあたってこの名曲《アヴェ・ヴェルム・コルプス》と深く向き合った期間、原曲の書法や背景、テキスト、様々な演奏や既に数多く存在するこの曲の編曲版、また他のクラシックの名曲が現代においてどのようにアレンジされているかということなども改めて見渡し、原曲の本質を見極めながら今回の場にふさわしい形を模索しました。さらにその後、リハーサルから本番までの音楽をつくり上げる過程を、指揮という形で素晴らしい演奏家の皆様とご一緒させていただいたこと、そのどちらもが充実して本当に贅沢な機会でした。また、フェスティバル中には他の演奏会もいくつか拝聴し、トップレベルの演奏と、その感動をまさに会場全体で共有する空気、そしてひとつひとつの演奏会としてもフェスティバル全体としても絶妙に構成された内容に感銘を受け、今後につながる多くの刺激をいただきました。ローム ミュージック ファンデーション様には留学をご支援いただいた上にさらにこのような機会をいただけたことを改めて感謝いたします。また共演してくださった皆様やお世話になったスタッフ・関係者の皆様、そしてご来場いただいたたくさんのお客様にも心から御礼申し上げます。

<出演にあたってのコメント>
ローム ミュージック ファンデーションの皆様にはこの2年間大変お世話になり、おかげさまでパリをはじめヨーロッパ各地でさまざまな経験をしながら充実した留学生活を終えることができました。心から感謝申し上げます。そしてかねてより注目していたこの京都での素晴らしいフェスティバルに、帰国後早速こうして関わらせていただけることはとても嬉しく光栄なことです。今回演奏してくださる一流の音楽家の皆様とともに、モーツァルトの音楽の魅力をどのようにお届けできるか、いまからとても楽しみです。

©IRCAM - Deborah Lopatin